第151話 嫉妬対傲慢 前哨戦
私達四人が傲慢の欠片についての情報を整理しているとローンがドアを蹴破って入ってきた。
「ローレン! 勝手に入ってくるんじゃない!」
「
「俺様が
「他の魔法は使えないの?」
「うむ。模倣されている魔法の格みたいなものが高すぎて俺様が使うと体が吹き飛ぶのだ!」
魔法の格? そういえば
「ローレンは傲慢の欠片に乗っ取られてるのか?」
「否! 俺様は乗っ取られたのではない! 取り込んだのだ!」
ライアスの質問を否定するローソン。取り込んだつもりが取り込まれてた! とか定番だよね? 後で脅威になるなら今のうちに排除したいのだけど。
「欠片の残滓? を封印するか倒しておいた方が良いと思うんだけど……」
「ふっ。流石は俺様の嫁だ! 俺様と同じ考えに至ったな!」
「ひっ」
体がゾワッとする。私はお前の嫁じゃない!
「そこで俺様は嫁に決闘を挑む! 俺様が勝ったら直ぐに嫁に来い! 俺様が負けるのは無いだろうが……そうだな、婿に行ってやろう!」
「どっちも罰なんですが!?」
「そう照れるな! 俺様の
話が通じなすぎるんですが……。受けるメリット無いし放置して帰ろうかな。うんざりしつつもライアスを見ようとしたら目のハイライトが消えた無表情のカトレアちゃんが視界に入った。あらまぁこの
思わずおばちゃん口調になっちゃっうくらいカトレアちゃんが怖いんだけど!?
「サクラを勝手に嫁にしないでくれる? サクラは私のものなんだからね?」
静かに話すカトレアちゃんが逆に怖い……。
「私はカトレアの……なんでもないです」
ものじゃないと言おうとしたら無表情のまま睨まれた。ライアス? 既に尻に敷かれてるな、じゃないよ。聞こえてるからね!
「そうか。なら貴様と決闘してやろう! 俺様が勝ったら俺様の嫁のまま、貴様が勝ったら貴様に譲ってやる! これでどうだ!」
「ダメだけど?」
そうだそうだ! 私は誰の嫁でもないぞ!
「あなたが勝ったところでサクラを渡すつもりは無いしその言い方だと今のサクラがあなたの嫁みたいじゃない」
「そこじゃない!」
「というわけであなたが勝ったらライアスをあげるわ」
「おい!」
思わず突っ込んだけど完全にスルーされた。そして巻き込まれるライアス。どんまい!
「他人事じゃないと思うぞ?」
「現実に戻さないで……」
せっかく現実逃避しつつライアスにサムズアップしてあげたのに即現実に戻された。私とライアスが小声で話してる間に決闘のルールが整えられていく。カトレアちゃんが止まらない……。
「よかろう。では俺様が勝ったらこの国の王は今日から俺様だ! 貴様が勝った場合は嫁のことを一度諦めようではないか!」
「待て待て待て待て! 勝手に王位を賭けるんじゃない!」
「私が勝てば良いのよ! それにライアスの王位なんかよりサクラの貞操のが大切でしょう!」
「いや、そんなことは」
「大切よね?」
「あ、はい」
カトレアちゃんつおい。私を助けるために他国の王位を賭けちゃうなんて私アイサレテルナー。思わず遠い目になっているとライアスが小声で話しかけてきた。
「カトレアは勝てと思うか?」
「
焔魔法もあるし大狐化も出来るから少なくとも一方的に負けることは無いと思う。
「というかこの決闘の結果に従う必要ないよね? 二人が勝手に言ってるだけだし」
「厄介な事にそうも言えないんだよ。俺達のいる場所で決まってるからな。話し合いに参加してなくても承認したことになるんだ」
「なら口出しした方が良くない?」
「あの二人相手に意味あると思うか?」
「…………ごめん」
ヒートアップしたカトレアちゃんに一ミリも意見を聞く気のないロレーヌに何か言ったところで黙殺されて終わりだろう。退席したら退席したで暴走しそうだしここで言い合いが始まったのが運の尽きだったね。
「では訓練場に移動するか」
「そうね。立会人はサクラとライアスで良いとして観客は入れないようにする? 恥はかきたくないわよね?」
「ふん。俺様が恥をかくわけなかろう。だが貴様の無様な姿を晒したいわけでも無し、積極的に呼ぶことはせず来た人には見せる程度でどうだ?」
「ええ良いわよ。見に来たお仲間に幻滅されないように気をつけてね」
どうやら二人の話しもまとまったみたいだし移動しますか。カトレアちゃんも強くなってるとはいえ怪我をしないと良いけど……。
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