第150話 傲慢
執事さんの案内に従ってライアスの執務室に到着する。中に入ると執事さんは外に出ていき、部屋の中にいるのは私とカトレアちゃん、ライアスの三人にレオンを加えた四人だけになった。
「レオン久しぶり……でいいのかな?」
「なんでもいいだろ」
「うーん。雑だね」
レオンも疲れているのか対応が雑になってる。何かあったのかな?
「せっかく呼んだのに悪いな。とある馬鹿のせいで忙しくなっちまった」
「私達を迎えに来てる間に何か起きたのかしら」
「ああ、俺が見てないからと力試しと称して騎士団一つ潰しやがった。その後処理中だよ。放逐したいけど周りに迷惑かかるからそれもできないんだよな。心をバッキバキに折ってやりたいんだが……。ムカつくほどポジティブというか堪えない奴なんだ」
もしかしてあいつかな?
「その馬鹿ってローレンツ?」
「ローレンな。そんな電磁場にかかる力みたいな名前じゃないぞ」
お、おう。律儀に突っ込む気力はあるのか。
「というかローレンを知ってるのか」
「カトレアがぶん殴ったよ」
「サクラじゃないんだな……。どうせ馬鹿から喧嘩売ったんだろ? わかってると思うが不問にするから安心しろ」
「だってサクラを嫁に貰ってやるとかほざいたのよ? 何様よ」
「そ、そうか」
カトレアちゃんから負のオーラが出てる……。ライアスもカトレアちゃんの迫力にたじろいでるね。
「そうだ。二人は傲慢の欠片を知ってる? 封印されてるなら良いけど封印が弱まってたり外出てたりしたら倒すよ?」
「あー。耳がはやいな。大罪の欠片について既に知っていたか」
知ってるなら倒してくれてると助かるんだけどどうかな? ローレとか怪しいよね。
「ローレンは違うぞ。いや、厳密には違う……というのが正しいな」
「え? 違うの?」
「元々はしっかりした忠臣で傲慢の欠片じゃないんだ。ただ傲慢の欠片を倒してからローレンの様子がおかしくなってな……。だが光魔法でも直せないから状態異常でもないみたいなんだ」
「それは傲慢の欠片に乗っ取られてない?」
嫉妬の欠片を倒した後のカトレアちゃんみたいな感じかもしれないね。なら引きはがすか倒すしかないかも。カトレアちゃんを見ると頷く。
「ロールンを一度ぶん殴れば治るかも知れないわよ? 私も乗っ取られたけどサクラのおかげで助けられたわ」
カトレアちゃんの発言を聞いたライアスが驚愕した顔で私を見る。
「サクラがカトレアを殴ったのか?」
「殴ってないよ!? モフモフを堪能しただけだから!」
「それはそれで訳が分からんのだが?」
何かおかしいことがあったかな? ケモ度が増したらモフモフするのは当然のことだと思うんだけど……。
「サクラが意味不明なのは今に始まったことじゃなかったわ」
頭に手を当てつつ疲れた顔をするライアス。仕事を頑張りすぎて疲れているのかな?
「誰のせいで疲れてると思ってるんだ。レオン。傲慢の欠片の能力を説明してやってくれ」
「ライアスが説明すればいいだろう」
ライアスの唐突なバトンパスに嫌そうにしながらもレオンが説明してくれる。
「傲慢の欠片が持つ魔法は
見たことがある魔法なら七つ好きに使えるということか。適正を無視できるなら使いやすそうだね。しかも上位互換も使えるなんて……。チートか? 私が考えている間にもレオンの説明は続く。
「今、傲慢の欠片が模倣している魔法で判明しているのは四つ。一つはダークノヴァ。闇と炎の複合魔法で炎すら燃やす黒い炎を出す。一度炎に触れると自然には消えないんだ。炎に込められた魔力よりも多い魔力で吹き飛ばすしかない」
カトレアちゃんの焔魔法にそっくりだね。私くらいの魔力量があれば問題なさそうだね。
「二つ目は
「!?」
「三つめは
「!!?」
セレスを魔王にした魔法? いや、少しだけ違う?
「
劣化版ってことかな? どんなメリットがあるんだろう?
「停止のように強力な効果を持つ物は格上には効かない場合が多いだろう? 効果が弱い代わりに格上にも通用するんだ」
セレスに
「傲慢の欠片なのに格上を想定しているの?」
「逆だ。格上にも勝つ自信があるから傲慢なんだ」
「な、なるほど」
一つ目は攻撃、二つ目は補助と回復、三つ目はデバフ。となると四つ目はなんだろう。
「四つ目は
「強すぎない?」
「代わりに一人からしか奪えない、奪った相手が死ぬとステータスが元に戻るからそいつには攻撃できない制約があるみたいだな」
それまた怖い魔法だね。デメリットがデメリット足りえないし、しかもまだ三つ魔法を持ってる可能性が高いと。面倒な相手だ。
「待ちなさい。二人はそれを倒したのよね?」
「ああ。ぎりぎりだったけどな」
「残りの三つは使わなかったの?」
確かに余力を残して負けるなんてあるのかな? 傲慢すぎて油断していたとか?
「使ったのは四つだけだった。もしかしたら制約があったのかもな」
「ロレロレンも憑依されてるなら四つ模倣できているのか……それとも七つ魔法を使えるのか……」
「それはこの俺様が答えてやろう! そして俺様の名前はロレロレンではなくローレンだ!」
四人で話していたら突然ドアを蹴破ってレーロンがやってきた。
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