男ってバカよね

「男ってバカよね」

 唐突に人生を達観したようなことを言われて、思わず動揺してしまいました。

「うーん、まぁそうだねぇ」

 相槌を打ちながら適当にごまかしているけれど、彼女は気にするそぶりも見せません。

「いっつも、くだらないことばっかりして」

「仕方ないよ。いくつになっても子供みたいなところがあるから」

「ほんと、こどもなんだから」


 二時間ドラマで、場末のカウンターを挟んでグラスを傾けながら店のママさんとお客さんが交わしている会話――もちろんそんなことはなく、相手は小学三年生のヒナ。

 いまは六年生になった彼女は、かなり小柄だけれど外見と違って姉御肌の大人びた言動の子です。同級生の男の子へ「あんた、時間に遅れないようにしっかりしなさいよ」とランドセルをバンッと叩いて気合入れたりします。


 で、よくよく話を聞くと、国語の授業でさされた男の子が、黒板の前に出ても答えを書かずにふざけていたのが彼女は気に入らなかったらしい。そのうち、他の子も一緒になって騒ぎ始めて収拾がつかなくなったみたい。

「だってさぁ、わかると思ったから手をあげたわけでしょ。それなのにふざけてるってどういうことよ」

 前日の出来事なのにまだ怒ってました。

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