モテないと思ってた

 マツリちゃんは違う登校班なんだけれど、同じ町内ということもあって五年生になった今でも仲良くしてくれています。

 これは彼女が二年生のときの話。



 いつものように校門前の横断歩道で旗を持って誘導していると、マツリちゃんが立ち止まって唐突に「グーグル使ってる?」と聞いてきました。

「うん、たまにね」

「ウチは二つあるよ」

 あぁ、パソコンのことね。

「ウチのは大きいのと小さいのが一つずつ」

 あぁ、デスクトップとノートタイプか。

「おじさんも大きいのと小さいのだよ」

「えっ、何で? 一人暮らしなのに二つもあるの?」

「え、おじさんは一人暮らしじゃないもん」

「結婚してるの?」

「うん。子どももいるよ」

「ふしぎー」

 ん? 何が不思議なんだ?

「モテないと思ってた」


 ちゃん、ちゃん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る