第11話 姉とは

「お姉ちゃん、待って下さい」


 僕は一旦部屋から姉を出す。

 今から配信を始めるところだったというのに、なんなんだ急に。


「由良ちゃんは、お姉ちゃんの服を着るべきなのだ!!」


 完全にキャラ崩壊したうちの姉。よくみたら顔が赤い、そして手には缶ビール。


 こいつ、酔ってやがるぜ(震え声)


「さっさときなさい!」


 僕は手を引かれ、姉の部屋へ押し込まれる。


 姉の部屋に入るや否や、僕は勢いよく手を引かれ、ベッドに倒れ込んだ。


「あ、あの姉さん?もう少し優しく…」


 姉は僕には目もくれず、クローゼットに向かった。

 次々に服を手に取り、これは違うと呟きながら戻し、また次の服を手に取る。


 僕に着せる服を探しているようだ。


 しかし、姉の酒癖はなんでこうもひどいのか。

 普段からは想像もできない。やはり、クール系キャラはストレス溜まるのか。


「これに決めた!!」


 姉は、普段では想像もできないほど無邪気な笑顔で、ロリータ調のゴシックドレスを持ってきた。


 姉さん、僕は姉さんがそんな服着てるのみた事ないぞ。

 しかもなんだ、そのサイズは。明らかに姉さんが着るようじゃないだろ、それ。


「さ、早く着てみて!」


「分かったから、後ろ向いてて!」


 僕はもう、なんの抵抗もせずに着替え始めた。昔は抵抗していたが、その度に丸め込まれ(力で)、辱めを受けてきた。


 抵抗すればするほど姉は燃えるらしく、力で押さえつけた後、無理矢理着せるのが好きらしい。


 姉はスポーツ万能で、大概何でもできる。それに何と言っても体がデカい。僕はものすごい簡単に丸め込まれてしまうのだ。


 こんなドレスも、今では着慣れてしまった。スムーズに着替え終わると、姉に報告した。


「お姉ちゃん、もう良いよ」


 ゆっくりと振り向く姉。

 そして僕をみて、呟いた。


「わたしの弟、尊すぎる…」


 そして、うちの姉は、そのままぶっ倒れた。


「お休み姉ちゃん」






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