第8話 ただのサボりで草

「ただのサボりで草」

「は?」

「すいません…」


 僕は今、2人に連行されている。右側に金山さん、左側にさくら先輩という布陣だ。


 両手に花といえば聞こえはいいが、僕からしてみれば四面楚歌だ。いや、四面楚歌も何もただの自業自得なんだけどね。


 僕らは今、学校にとんぼ返りしているところだ。時刻はまだ17時、部活動の時間はまだまだあるから、という事らしい。


 さくら先輩があんなに雰囲気を出して怖かったのも、全ては部活に無断欠席する部員を叱る為であり、決してやましいことがある訳ではないとの事だった。


「ふひ、天城くんが帰ってきた…ふひひ」


 本当にやましいことがないのか不安なる。ニチャという音が聞こえて来そうな笑い顔を浮かべているさくら先輩であった。


 そんなこんなで、美術室。

 部活動をサボった罰として、まずは部屋の掃除をするらしい。


 しかし、この美術室はあいも変わらず、こざっぱりとしていて、特に掃除するような所も無いように見える。ただそれを言いたくても、普通に怒っている金山さんと、何やら企んでいそうな暗黒微笑を浮かべるさくら先輩には声をかけられなかった。だって怖いんだもん!


 僕は箒を取り、掃除を始めた。



 ───さくら先輩視点


 何はともあれ、天城くんが部活に戻って来てくれた。戻って来たというよりは、連れてきた、が正しいけど。


 しかも金山さんも思ったより悪いギャルではなさそう。なんならちょっと良いかも…?


 て、そんな事は今はどうでも良い。天城くんに部室の掃除をさせている間に、例のアレを準備しなくちゃ。


 私は準備室に入ると、例のスケスケ服を取り出した。


 そう、何を隠そう。今回のおサボり事件にかこつけてもう一回スケスケデッサンをしてやろうと考えているのだ。


 箱の中から、スケスケの服を取り出す。そして、キャンバスなどを用意して、あとは天城くんが着替えて来てくれるだけ、というところまで準備を行った。


 しかし、だ。おそらくおサボりの罰として天城くんにこれを着させるのは可能だろう。ただ、あのギャルが邪魔だ。


 すらっとした身体に美人な顔、そして堂々とした態度。私がまたスケスケさせていたら、きっと何か言ってくるに違いない。


 あのギャルをなんとかするにはどうすればいいのか……。


「あ、わかった」


 そうだ、あのギャルも一緒にデッサンさせたら良いんだ。

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