第281話 ついにやったぞおおおおおおお!!!

 話し合いも終わり、オレとフィーネ、ハク、フォルテは一度リエンカ家に戻ることになった。

 本当は、クリエも状況が気になっているのか一緒に帰りたがったが。

 別件を控えているらしく、別のランクS神族に「仕事に戻りましょう」と引きずられていった。

 上位層は上位層で大変そうだな……。


「それにしても、あんなところに監禁されてたのによく場所が分かったわね」

「悠斗くんの作った上位神鉱石のおかげよ。あれがなかったら、位置の特定どころか証拠すら掴めなかったわ」

「そう、なのね。……ねえ母様」


 フィーネは少しの間なにかを考え、そして。

 いつになく真剣な様子で口を開く。


「私、神乃悠斗と結婚したいわ」

「え?」

「えっ!?」

「……ちょっと。どうして君が驚くのよ。最初に告白してきたのは君でしょ!?」

「い、いやごめん。あまりに突然だったからつい」

「……ランジ様に、スペース家との間に子どもを作ってほしいって頼まれたの。スペース家とリエンカ家が手を組めば、絶対に神界の発展に繋がるって。そうなれば、全世界に大きな貢献ができるはずだって。名門家に生まれた役割を果たせって」


 フィーネは、改めて監禁されたときの状況を語り始めた。

 ランジはどうしても自分の代で成果をあげたかったらしく、相当しつこくフィーネに迫ったのだという。

 で、それを断固拒否し続けた結果、今回の監禁騒ぎへと発展したらしい。


「……その時に考えたのよ。神乃悠斗は転生者だし、しかも間違って救済召喚した元人間だし、性格も人間的だし、リエンカ家の跡継ぎとしては多分ふさわしくはない。でも私は、そんな神界の常識に囚われない神乃悠斗が好きなの」

「フィーネ……」

「神乃悠斗なら、きっと私たちには想像のつかない、新しい風を吹かせてくれる。私、それはそれで神界に必要なことだと思うのよ。だってこの世界に生きる者の多くは神族じゃないし。それに、上に立つ神族が常識に囚われてたら未来はないわ」


 フィーネがめちゃくちゃまともなこと言ってる……だと……。

 いや、じゃなくて!!!

 オレとのこと、ちゃんと真剣に考えてくれてたんだな……。


「……オレも、オレもフィーネが好きです。フィーネが笑っていられるように、そばにいて幸せにしたい、です」

「……な、なんかすごく恥ずかしいんですけど!?」

「うるせえ言うな。オレだって死にそうなくらい恥ずかしいんだよっ」


 ああもうまったく。

 こいつはいつもこう、重要なときにまで一言多い。


「……ふふ。あなたたち本当に仲良しね。分かりました。私は賛成よ。バースとも、元々そのつもりで話していたの。悠斗くん、フィーネをよろしくね」

「は、はいっ! こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします」


 こうしてオレとフィーネは、晴れて公認の仲へと発展したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る