第268話 フィーネの行方と疑惑
「まあ一応、見かけたらご連絡差し上げます」
「ありがとうございます。助かります」
エリアとオレは、こうして話をし、そして分かれた。
フィーネの家出は時折あることらしく、フォルテやバースもあまり大事には捉えていない様子だ。
まあ、フィーネだって小さな子供じゃないんだし。
2~3日もすれば戻ってくるはずだし。
放っておけばいいのかもしれないけど。
でも気になるだろおおおおおおおおお!!!
いったいどこ行ったんだ!?
というかオレ、スペース家に入る気はないって言ったよな!?
エリアに対して怒るのは勝手だけど、なんか納得いかないんだが!?
くそ。
こうなったら、こっちも帰ってくるまで無視してやる。
いつでも探してもらえると思うなよっ!
そう思っていたのだが。
◇ ◇ ◇
2日後。
リエンカ家での授業をこなし終えた移動中の廊下に。
フィーネの代わりにエリアが現れた。
「こんにちは。ハルト殿、フィーネ嬢はご帰宅されましたか?」
「いや、まだ帰ってないですね……」
「…………そう、ですか」
「? どうかしました?」
エリアは、神妙な面持ちで何やら考えこんでいる。
いつもの余裕を感じさせる表情は消え失せ、その目からは焦りすら感じる。
「……少しお時間よろしいでしょうか? 大事な話があります」
「え? あ、はい」
午後からは訓練の予定だが、それまで2時間ほど空いている。
オレはリエンカ家の自室にエリアを招き、そこで話をすることにした。
「それで、話って何ですか?」
「……申し訳ありません。フィーネ嬢ですが、もしかしたら父上によって監禁されているかもしれません」
――――え? は?
「……どういうことです?」
「あのあと、一応うちに仕えている天使にフィーネ嬢を見ていないかと聞いたのです。そしたら一昨日の夜うちで見た、と。それで、父上と何か言い争っていたのを聞いたそうで――」
おいいいいいいいいいいいい!!!
「え、それでフィーネは――」
「私はあのパーティーのあと親しい仲間と飲み直していて……。それで天使の話を聞いたあと父上に聞いてみたのですが、フィーネは来ていないし話してもいない、と」
「ま、まじですか……」
え、そうだとするとかなりまずいんじゃないのか? 監禁???
というかフィーネはいったい何を――
「ど、どうしましょうハルト殿!? うちは空間を司る一族です。父上が本気でフィーネ嬢を隠したとすれば、私では手の打ちようがありません」
「――えええ」
エリアは混乱した様子で、なんとオレに泣きついてきた。
というかオレではもっとどうしようもないのでは!?
「と、とりあえず落ち着いてください。確認しますが、フィーネの失踪に関して、エリア様は本当に無関係なんですね?」
「もちろんです! たしかに私は腹黒いし性格もいいとは言えません。でもよその令嬢を監禁するような非道なマネは絶対にしませんっ」
オレのことは丸め込もうとしたけどな!!!
まあでもたしかに、監禁なんかするなら、最初からオレに接触してあの手この手で説得しようとはしないだろう。
しかもあの時点では返事待ちの段階だった。
「仮に監禁されていたとして。目的は何なんでしょう? フィーネの身に危険が及ぶ可能性は……」
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