第259話 家の事情とフィーネの思い
「――そうねえ、何とも言えない、というのが正直なところかしら」
エリアが帰ったあと、オレはフォルテに今さっき話した内容を伝えてみた。
フォルテは神界のルールや常識をかなり重んじる性格に見える。
つまり彼女からの回答が神族の一般的な反応、ということになるだろう。
「というと、つまりエリア様の言ってることは神界の常識としてはおかしくない、ということですか?」
「そうね。もちろん婚姻を結んで、というのが一般的だけれど、子どもだけ作るという契約も名門神族としては稀にあることよ。向こうとしては、悠斗くんの気持ちを尊重して妥協案を提示したというところじゃないかしら」
だ、妥協案……。
いや、まあうっすら分かってはいたけど。
でもそんな妥協案認めたくない!!!
「それより悠斗くん、私にそんなこと話してよかったのかしら。てっきり隠しているものと思っていたけれど」
「え? ――――あ」
し、しまった…………
そうだ、フィーネに告白してバースさんにバレてたから言ったものと思い込んでたあああああああああああ!!!
「あ、いや、ええと……」
「――ふふっ。知っていたから大丈夫よ。悠斗くんは本当に面白いわね」
「え。えええええええええええええ」
焦るオレを見て、フォルテはおかしそうに笑う。
というか知ってたのかよ!
もしかしてまた街中で告白した件が――いや、もう聞かないでおこう。
「そもそも、あなたにこうしてリエンカ家と同じ教育を詰め込みで受けさせているのはどうしてかしらね?」
「え? それは名門神族として恥ずかしくないように――」
「もちろんそれもあるわ。でも、あなたがフィーネに告白した、という話を聞いたからよ。だから私もバースも、話し合ってあなたがフィーネの夫として困らないよう教育しなきゃと思ったの」
な、なん……だと……
「本来なら、フィーネは末っ子だから家のことなんて考えなくてもよかったのだけど……クリエは天界神族になってしまったし、リンネは相手の家に嫁ぐことになりそうなのよ」
リンネさんの婚約の話、もうそういう段階だったのか!
「クリエが天界神族になったときも、リンネの婚約についても、フィーネの意見もそれとなく聞いたのよ。でも当時はあなたもいなかったし、あの子自分に自信がないから任せるの一点張りで……」
「…………」
「だから本当は、今一番戸惑ってるのはあの子だと思うわ。もうあとには引けないのに、婚約相手にうちを継がせるしかないのに、あの子もあなたのことが好きだから」
……そうか。
告白したあの時の涙は、そういうことだったのか。
フィーネはいつからオレのことを好いてくれてたんだろう?
――あれ?
「え、じゃあエリア様は――」
「あの子には申し訳ないけど、現状フィーネをスペース家に嫁がせるわけにはいかないのよ。だからきちんと話してくれればお断りするつもりなのだけど……リンネの婚約の話はまだ表に出してないから、そういう事情があるとは知らないのでしょうね」
「なるほど!?」
あいつはあいつなりに頑張ってきただろうに、それはそれで気の毒だな……。
いや、譲るつもりなんか毛頭ないけど!
フィーネとの間に子ども作らせろってのもお断りだけど!
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