第256話 ハクの成長が目覚ましい!
上位神鉱石の解析も終わり、フォルテとクリエは神界へと戻っていった。
これからより詳しく解析、研究を重ねたいというクリエに、上位神鉱石を全体の3割ほど譲ってあげた。
こっちとしても、正体不明で使い道すら分からない危険物を放置するわけにもいかないし、非常にありがたい話だ。
一応置いておく分には危険性はないと判断され、クリエの結界は解除されている。
が、上位神鉱石が生えた湖近辺は、しばらく立ち入り禁止となってしまった。
フィーネは、その山をじっと見つめる。
「変な気起こすなよ」
「分かってるわよ。でも、これがあれば私だって――」
「フィーネ、たぶんおまえに足りないのはそこじゃないぞ。頭だ」
「はあっ!? 失礼しちゃう! 君より私の方がずっと賢いんですけど!?」
ぷくっと口を膨らませ、睨みつけてくる。可愛い。
可愛いが――まじで言ってんのかこいつ?
自分のぽんこつ具合を自覚してないヤツほど怖いものはない。
「まあとにかく、クリエさんが研究を進めてくれるらしいから。研究が進むまでは大人しく待とう。オレたちで触るのは危険かもしれない」
「――でもこれ、突き詰めれば君の神力とラテスの鉱石力の結晶よね?」
「結晶ったって何らかの反応を起こしてこうなってんだ。おまえにどういう状況なのか的確に判断できるのか?」
「それはまあ、無理だけど」
「だろ。オレにも無理だ。だからとりあえず、今は忘れよう」
上位神鉱石が気になって仕方ないフィーネをどうにか説得し、オレはフィーネを連れて神殿へと戻る。
「お疲れ様です。天使と一緒にクッキー焼いたので、ハーブティーと一緒にいかがですか? シュワシュワジャムが綺麗ですよ」
「ありがとう。いただくよ」
「私ももらうわ」
ハクは自分も家事を担うことで天使たちと交流を深めているらしく、今では友達のように和気あいあいとした時を過ごしている。
そうした情報交換の甲斐あってか、料理の上達も目覚ましい。
――ちょっと前まで、オレ以外とは事務的なやり取り以外しない子だったのにな。
娘の成長を見守る親ってこんな気持ちなのかな……。
フォルテに依頼されたレシピ開発も順調らしく、最近はリエンカ家で出されたお菓子がハク考案のもの、なんてこともしょっちゅうだ。
クッキーは、円形に絞り出した生地の中央にシュワシュワジャムが飾られ、その状態で焼いてあるらしい。
「ジャムがゼリーみたいでうまいな! シュワシュワ感もしっかり残ってる」
「えへへ、ありがとうございます」
「おいしい! これすごく好きだわ。クッキー自体も爽やかというか若干スパイシーよね。何か入れたの?」
「モモリンと相性の良さそうなハーブをブレンドして入れてみました」
「へえ。やるわねハク。母様も絶対気に入りそうな味!」
「本当ですか! 今度提案しようと思ってるお菓子の試作品なんです」
――何というか、ハクとフィーネもすっかり打ち解けたよな。
あとはオレが名門神族としての力と知識をつければ。
そしてお試しから卒業できれば――。
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