第255話 またチートなものを作ってしまった

 精霊たちの生活エリアを見てまわったあとも、グラス高原やミステリ山脈、それから火山島の温泉街などあちこちを観光した。

 ミステリ山脈でファニルと出くわした際には、フォルテは開口一番に謝罪。

 フィーネは何が何やら分かっておらず、ずっと横で「何なの? なんで謝ってるの?」と聞いてきたが、華麗にスルーしておいた。


 人族の生活エリアへは行くべきか否か迷ったが。

 これだけ多くの神族(+神獣)が現れれば争いの抑制にもなるだろうということで、チラッとお邪魔する。

 ヴァリエ王とガーネットは緊張しつつも普通に対応していたが、シオンは自身の常識を超える事態にガタガタと震え、「ありえないありえないありえないありえない」とぼそぼそブツブツと繰り返していた。

 以前、自分で「自分は王の器ではない」と言い切っただけある。なるほど。


「これからも、ラテスをよろしくお願いします」

「こちらこそ。わざわざご足労くださり何とお礼を言っていいやら」

「いえそんな。久々にお会いできて嬉しかったですよ。フィーネの家族も紹介できましたし」

「これからも、リエンカ家一同あなたたちの活躍を見守っているわ」


 フォルテの言葉に、ヴァリエ王、ガーネット、シオンは深々と頭を下げる。

 そんな3人を見てクリエも微笑む。


「……あ、そろそろ解析が終わりそうだわ~。戻りましょうか」

「そう。分かったわ。それじゃあごきげんよう。……行くわよ」


 こうしてオレたちは、ざっとではあるが5人でラテスを観光したのだった。


 ◇ ◇ ◇


 離島の神殿に戻ると、解析は完了しているようだった。

 クリエは情報を何やかんやチェックし、いろいろと考えて。


「多分、【神鉱石】よりさらに上位の鉱石を生み出しちゃったってところね~」


 クリエによると、通常の精製された【神鉱石】は、神力に反応して呼応する性質が重宝される代物らしいのだが。

 この【上位神鉱石(仮)】は、なんと石自体が神力の塊のようなものらしい。

 つまり、この【上位神鉱石(仮)】を所有するだけで神力の増強が見込めるのだ。


「こんなの反則級のチートアイテムだわ~」

「……これは当分、よそに情報を漏らすわけにはいかないわね」

「それって、これがあれば私もクリエ姉様級の力が使えるってこと?」

「理屈上はそうね~。前代未聞の鉱石だから、実用化にはこれからまだ実験を重ねる必要があるけど」


 クリエのその言葉を聞き、フィーネは目を輝かせる。


「神乃悠斗、すごいじゃないっ! こんなのがあれば、うちの独り勝ちが確定したようなもんだわ!」

「フィーネ、あなた変な行動は起こさないでちょうだいね……」

「分かってるわよっ!」


 フォルテは不安そうにフィーネに念を押すが、本人は言われる間でもないといった様子で胸を張っている。


 ――はあ。

 フォルテさんの気苦労、お察しします……。

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