第252話 前世の上司に聞かせてやりたい!
光る鉱石の山ができた日の夕方。
ラテスにクリエがやってきた。
「あら~、これはすごいことになってるわね~」
目の前にそびえる山に驚いた表情を見せつつ、フォルテの結界を解いて自身の結界に切り替える。
そして何やら術式を展開し、調査を開始した。
「……時間がかかりそうだから、自動解析に切り替えるわね~」
クリエはそう言ってステータス画面を開き、いくつか操作したのち、その画面を結界に貼りつけた。
「こ、こんな使い方があるんですね……」
「うふふ、ランクSの特権よ~♡ 私が作ったシステムなの。すごいでしょ~」
本当にすごい!!!
というか、クリエさんはシステムの効率化の研究が専門なんだろうか?
以前も自動学習のシステムを構築したとか言ってたよな……。
「同じ結果が得られるなら、ラクした方がいいじゃない? その分、別なことに力を入れられるし。神族が疲弊してちゃ、星の管理にも悪影響が出るしね~」
「な、なるほど……。前世の上司に聞かせてやりたいです」
「うふふ、効率化は手抜きとは違うのよ~。神界でも、そんなやり方はよくないって言う方もいらっしゃるけど、使いたい方だけ使えばいいと思ってるわ」
クリエさん、かっこいいな……。
飛び抜けた実力があって、それなのに威圧的な態度を取ったり押しつけたりしないし、オレみたいなのにも分け隔てなく接してくれる。
おまけに超絶美人。
リンネさんがあんな性格になるのも分かる気がする……。
いや、美人なのはリエンカ家みんなそうだけど!
「母様、たぶん数時間はかかると思うけどどうする? いったん神界に帰るかしら」
「……でも、これをこのまま放置するのはちょっと」
「うーん、それもそうね~。じゃあ、せっかくだし、みんなでこの星を探索しない? フィーネから話は聞いてたけど、とっても素敵な星よね~ここ!」
「ちょっとクリエ! またそんな勝手なこと……」
「だって星管理のプロの星よ~? もっと見てみたいじゃない!」
星管理のプロ!
いやまあコンサルさせてもらってる身だし否定はできないけど。
でもやり方が非効率的なのは否めないし、こんな優秀なベテラン神族たちにお披露目するほどの価値があるかは……
「神乃――もううちの一員なんだし、悠斗くんでいいかしら。悠斗くんとフィーネ、ダメ?」
「オレはべつに構いませんけど……」
「私は神乃悠斗がいいなら問題ないわ」
「フィーネはまだフルネーム呼びなのね~。私もその方がいいかしら?」
「なんか呼びなれちゃって」
「オレはどちらでもいいですよ」
最初は、むしろフルネームは違和感しかなかったけどな!
でもあまりにもフルネーム呼びが浸透してしたせいで慣れてしまった。
「母様、問題ないそうよ~。行きましょうよ」
「大丈夫かしら……。まあでもそうね、悠斗くんがいいって言うなら。この服で行くと目立ちそうだから、普通の服に着替えましょう」
フォルテとクリエ、フィーネは、それぞれちょっといいところの婦人とご令嬢、といった服装へと切り替えた。
まあフィーネは既に【神衣】姿で認知されてるし、今更といえば今更だけど!
でも大勢で行くと委縮してしまうかもしれないし、着替えるのは正解だろう。
というわけで、オレとハク、フィーネ、フォルテ、クリエの5人で、解析が終わるまでの間ラテス内を散策することになった。
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