第251話 何やかんやって禁忌レベルのことだったのか!
「ちょっとなんか凄まじい力を感じるけど何ご――――は?」
「悠斗様っ! 大丈夫ですかっ――――え」
異変に気づいて神殿から飛び出してきたフィーネとハクは、目の前の光景を見て言葉を失い、呆然と立ち尽くしている。
「え、ええと。フィーネ、これはいったい……」
「そんなのこっちが聞きたいわよっ! 君いったい何したの!? この目の前で光ってる山は何!?」
オレはフィーネに、事の経緯を説明する。
「原石がなかったから、あの超高純度の完成形を放り込んだ!?」
「いや、原石でいけるなら完成形でもいけるんじゃないかと思って……」
「…………はあ。とにかく、結界を張って解析を行なうわ。君は念のために母様を呼んでちょうだい」
「お、おう」
オレは【神界への門:リエンカ家】でリエンカ家へ向かい、取り急ぎフォルテに来てもらった。
「…………これは?」
目の前の光景を目にし、フォルテも呆然と立ち尽くす。
事情を説明すると、頭を抱え、光る鉱石の山へと近づいていく。
「フィーネ、代わるわ。一応、2人を連れて離れていてちょうだい」
「母様! 助かるわ」
フォルテは山に手をかざし、何かを唱えて解析を開始する。
しかし。
数分もすると解析をやめてしまった。
そしてそのままふらつき、立ちくらんだようにその場に崩れる。
「……だめだわ。解析しても私ではとても。でも、恐ろしく高純度なうえ凄まじいエネルギーを秘めてるのは確かよ。悠斗くんの神力とラテスの鉱石力に、悠斗くんが作った高純度な神鉱石が合わさって、何らかの突然変異を起こしているわね」
と、突然変異……
まだ神鉱石を放り込んだだけで、オレは何もしてないんだが!?
「とにかく、あとでクリエに連絡して来てもらいます。それまで余計なことはしないこと。いいわね」
「すみません……。あの、ラテスに悪影響は――」
「それはないと思うわ。多分、だけれど。結界は張ったままにしておくから、結界の中へは立ち入らないこと」
フォルテはそう釘を刺し、リエンカ家へと帰っていった。
「だ、大丈夫かな……」
「母様が解析に失敗するなんて、そんなの私の知る限り初めてだわ。失敗、というより前例がないって感じだったけど」
「もしクリエさんでダメだったらどうしよう」
「その時は――ほかのランクSの神族に出てきてもらうか、もしくは聖神様にお願いするしかないわね。それか、君が自分で研究するか」
なるほど!?
フォルテさんにできなかったことがオレにできるとは思えないんだが!?
「でも母様は、できればうちの中で解決したいと思ってるでしょうね。君はイレギュラーすぎるから、きちんと説明しきれない現状が露呈すれば、うちが何か禁忌を犯したと思われる可能性も出てくるわ。……実際、あながち間違ってもないから一層困るのよね」
「おいいいいいいいいいいいいいい!!!」
今ぼそっととんでもないこと言ったなこいつ!
何やかんやって、そんな禁忌レベルのことだったのか!!!
ああもう。
オレはただ、リエンカ家の力になれればと思っただけなのに……。
浅い経験で大きな行動に出たのは間違いだったかもしれない。
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