第250話 神鉱石を作る練習のはずが――
休みの日。
オレはスキル【神様】を使って、今いる離島に湖を作ることにした。
あのランクA昇格試験の際に見た湖をイメージし、思い出せる範囲で再現する。
「湖なんて作ってどうしたの?」
「いやほら、昇格試験の時に使った星で、神鉱石を量産しただろ? あれを意識的に確実にできるように訓練したくてさ」
「? 神鉱石なら、ミステリ山脈にたくさんあるじゃない」
「いやまあそうなんだけど、あれはあの一帯の鉱石力の安定にも役立ってそうだし、あのままにしておいた方がいいんじゃないかと思ってさ」
「ふーん?」
神鉱石は、いってしまえば凝縮された神力の結晶のようなものだ。
下手に採取しまくれば、エネルギーが減少してしまうかもしれない。
試験の時は、湖にひたすら力を注ぎこんで、そこに透明の水晶(仮)を投げ入れたんだっけ?
あの水晶が何だったのか、もっと調べればよかった……。
「フィーネ、神鉱石を作るときに使う、水晶みたいな透明の鉱石が何でできてるか知らないか?」
「透明の鉱石? ――ああ、神鉱石の原石かしら」
「うん? 原石?」
「君が作り出す神鉱石は純度の高い完成形だけど、本来あの形で発生することはないのよ。原石は内包しているエネルギーが弱いから、何も知らない君には透明に見えたんじゃない?」
――え、まじか。
ということはもしかして、あれを見つけた時点で合格だったってことなのか?
いやでもさすがにそんなはずは……
「一般的には、あれに力を注いで粉砕して、それを土や水の中にばらまくの。そしてその一帯に力を注ぎ続ければ、元の原石よりは純度の高い、一般的な神鉱石が生産できるわ。原石の状態では、たぶん神鉱石とは認められないわね」
「な、なるほど……」
力を注いだら割れてしまったため失敗したと思ったが、どうやらそこまでは正解だったらしい。
だが、ここには原石は存在しない。
あるのは、純度の高いすでに完成形となった神鉱石だけだ。
――まあ原石でできるなら完成形でもいけるだろ。
とりあえずやってみて、無理だったら考えよう。
「教えてくれてありがとな。やってみるよ」
「無理はしちゃだめよ」
フィーネが部屋に戻ったあと、オレは事前に採取しておいた神鉱石をいくつか湖に投げ入れてみた。
ここから力を注いでいけば数日後には――と思っていたのだが。
神鉱石を投げ入れて数秒後、湖が強烈に黄緑色の光を放ち始めた。
「――――は? え、今度は何だ!? まだ何も」
驚いている間も光は一層強くなり、目を開けていられないくらいだ。
そしてピキピキパキパキと何かが凍るような音が聞こえ始める。
――こ、この音はもしかして……
暫くすると光が少し弱まった気配がし、恐る恐る目を開ける。
すると――
「な、何だこれ!?!?」
そこには、全体が黄緑色の輝きを放つ見たことのない鉱石の山が出来上がっていた。
山は、オーラのような不思議な揺らぐ光のようなもので覆われている。
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