第249話 強みを伸ばしていく戦法
バースと話をしてから、オレはずっと自分の能力について考えていた。
先日言われた、「ほかのどの神族も持っていない不思議な力をたくさん秘めている」という言葉。
オレはこれをもっと自覚して、積極的に伸ばしていくべきなんじゃないか。
そう思ったのだ。
オレが名門神族ではないことやそもそも親族がいないこと、転生者であることは覆しようがない事実だ。
だったら、それを上回る「何か」を積み上げていかないといけない。
今までは、たまたま備わっていたチート能力でほいほいここまで来れてしまった。
……いやまあ、それなりに苦労もしたけど。
でもここからは、きっとそうはいかない。
神族という、生き物の最上位に位置する種族の、さらに上位層に入り込んだのだ。
このまま言われたことだけこなしていてうまくいくとは到底思えない。
今まで神様活動をしてきて、オレには「星と繋がり、星のエネルギーを根本から強化する力」があることが分かっている。
これは、オレがここに来る際にフィーネが何やかんやした影響で、オレという存在の構築に神様アイテムとしての要素が入り込んでいるためだ。
だからほかの神族には、この能力は備わっていない。らしい。
――あとはまあ、神様活動コンサルかな。
このコンサル活動のおかげで、オレは結果的に神族の信仰対象となった。
これはリエンカ領の領民との関係性向上にも大きな効果をもたらしている。
今は授業と訓練に専念するため月に数日活動している程度だが、落ち着いたらぜひまたお願いしたいとも言われた。
たぶん、オレの大きな強みはこの2つだ。
こうした神様活動に有利な能力があることで、傘下にいる精霊の力も強化されるし、良質な神鉱石もいくらでも生産できる。
モモリンやオレンを始めとした農産物も、飛び抜けた品質で量産可能だ。
だったら――
「フィーネ、ハク、せっかく神様だってカミングアウトして拠点を離島に移したし、ここで生産物の研究をしようと思うんだけど、どうかな」
住民から送られてくる献上品、そしてリエンカ商店への卸しで得られる売上で、お金に困る心配はまったくない。
というかそもそも、スキル【神様】を使えば創造も自由なわけで。
その上住居である神殿は掃除すらいらない高性能なオート機能付き。天使もいる。
ラテスにいる分には、今やお金なんてほとんど必要ないのだ。
「いいわね! 私もできることがあるなら手伝うわ」
「僕も賛成ですっ! お手伝いしますっ」
「ありがとう。神殿の周辺はまだ未開拓だし、これから使い道を決めていこう。とりあえず、神鉱石の生産と農産物の研究は必須だな」
名門神族のような「家」という財産がなくたって、絶対にフィーネを勝ち取って見せる。
あんな力目当てのヤツになんて負けたくない。
誰にも文句なんて言わせない、圧倒的な力をつけてやる!!!
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