第232話 フィーネは本当ぶれないな!!!
「……領主様とフィーネ様が……神様……」
一番呆然としているのはガーネットだ。
心ここにあらずといった様子で、うつむいて何やら聞こえないくらいの声でぶつぶつつぶやいている。大丈夫だろうか。
昨日の段階では、神様と言っても元人間で――という説明しようと思っていたが。
フィーネから絶対に言うなと釘を刺されてしまったので話せない。
神族には威厳も大事だとか何とか云々……。
まあ実際、信仰が力に直結するわけだしな。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「……だ、大丈夫、です」
「すみません騙すつもりはなかったんですが、突然召喚してそんな話をすれば怯えさせてしまうかもと思いまして」
「い、いえ。言えないこともあって当然ですから。それに、領主様――いえ、神様が私たちを助けてくださったことに変わりはありません」
「私も同意見です。好き勝手に開拓していいなんてやけに気前がいいなと少し疑っていたので、私は逆に安心しました」
「実際、悠斗様がいなければ、我々に未来はありませんでしたからね」
最初は混乱していたガーネットとシオンも、やり取りしていく中で徐々にいつも通りの2人に戻ってくれた。
「――でも、それならフィーネ様はいったい何者なのです? 神様よりも力を持った偉い存在とは……」
「ああ、そういうことじゃないのよガーネット。私も神様なんだけど、うちは名門神族――つまり人間でいうところの貴族みたいなものなの。簡単に言うと、とっても偉い神様ってところね」
どや顔で説明するフィーネに、3人は分かったような分かっていないような微妙な表情を浮かべる。
突然「神様の中の貴族です」なんて言われてもピンとこないのは当然だろう。
しかもフィーネこんなだし。
オレも最初は「こいつ何言ってんだ?」とフィーネの頭を心配した。
「まあとにかくそういうわけなので、今後は少し離れた位置に住もうと思うんです。ラテス内ってことに変わりはありませんが」
「…………そう、なんですね」
「それで、あなた方に領主としての、というか国王としての役割を果たしていただけないかと……。まあヴァリエさんは元々王様ですけど」
これが可能ならば、いよいよ本格的にラテスが星として動き始めることになる。
――引き受けてくれるかな。
エクレアはもうほとんど独立国家のようなものだから問題ないと思うけど……
「……恐れながら、私は元々ただの一般市民でして。突然王様になってくれと言われても困ります。それに私は王には向いていないかと。トリル人の中から適任者を探す、という形でもよいでしょうか?」
「――あ、もちろんそれで構いません」
「ではいったん、この件は持ち帰りますね」
――まあたしかに、シオンさんはあんまり自分で切り開いていくタイプではなさそうだしな。
どっちかというと、この中ではオレ寄りな性格な気がする。
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