第230話 神様カミングアウト計画
「――というわけで、このラテスの領主という立ち位置を誰かに譲ろうと思うんだけどさ。おまえはどう思う?」
「だから最初からそうしなさいって言ってるじゃない……。そもそも、人族と同じ立ち位置で生活するなんて無理があるのよ。50年もしてみなさい、1人だけ歳を取らない君はバケモノ扱いよ」
――――ぐ。
「でも、オレがこの星を離れたら鉱石力がどうなるか分からないぞ」
「まあ君、精霊全員を上位精霊にしちゃったしね……」
「いやそれフィーネさんの案ですよね!?」
「……とにかく、今となってはいきなり神界に移住するのは避けた方がいいと思うわ。君に何かこうしたいってプランはないの?」
無視かよ!
まあいいけど!!!
「そうだな……オレも完全に離れるのはやっぱりちょっと。何だかんだで、ラテスのこと気に入ってるからな。……要は、人族と密接に関わらなきゃいいんだよな?」
「? まあそうね」
「――よし。じゃあ隠居しよう!」
「はあ!? い、隠居?」
どっか山奥に引っ込んで、マイペースに平和に暮らすのもいいだろう。
「まあたまには村の様子を見に行ったりもするけどさ。というかもういっそ神様だって明かしちゃうのはどうだ? 生活エリアを分けるなら、べつにそれもアリかと思うんだが。神様(実体)がいるとなれば、争いも起きにくいと思うし」
「……ええ。ええと待って。またそんなイレギュラーな方法」
フィーネは頭を抱え、考えこんでしまった。
が、これがラテスを離れず鉱石力を安定させ、なおかつ人族からは距離を置く最適解だと思う。
「とりあえずまずはガーネットさんとヴァリエ王、それからトリル人の誰か1人代表を選んで、その3人に相談しよう」
「……一応、私も同席していいかしら。君1人に任せると何言うか分からないから心配だわ」
「もちろん。むしろ助かるよ」
フィーネにそんなことを言われるのは若干心外ではあるが。
しかしこうした話し合いにはフィーネの方が慣れているかもしれない。
いて困ることはないだろうと判断した。
「でしたら、僕や天使の存在も明らかにしてしまいますか?」
「そうだな。これまでの生活で信頼関係は築けてるはずだし、まあ精霊の存在は明かしてるんだからどうにかなるだろ。でも移住先は――ラテスからまっすぐ西に行った先に島でも作るか」
「いいですねっ!」
「……まあラテスの管理は君に任せるって言ったし、私は君に従うわ」
明日ちょうど休みだし。
3人には明日集まってもらうことにしよう。
突然で申し訳ないけど!
オレは強化ガラス端末で各地の代表者3名に大事な話があると連絡し、引き続きフィーネ、ハクとともに明日に向けて話を詰めていくことにした。
みんなが受け入れてくれますように……。
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