神様の手違いで異世界の未開拓な惑星に転生させられたので、ここで神様始めました

第226話 フィーネの様子がおかしい

「ただいまー」

「ただいま戻りました」

「――お、おかえりなさい！」

　久々の神様活動を終えて帰宅すると、フィーネはすでに戻っていた。

　いつもどおり出迎えてはくれたが――

　――なんか様子が変じゃないか？

「留守中に何かあったのか？」

「えっ？　え、ええと……特に何も」

　嘘が下手くそすぎる！！！

「――そうか？　でもガーネットさんが来たんじゃ？」

「え、あ――」

　オレとフィーネの目線の先には、ガーネットが置いていった報告書らしきものが封筒のまま置かれていた。

　――なんだ？

　そういえば前回来たときも、ガーネットさん様子がおかしかったよな。

「フィーネ、ガーネットさんと何かあったのか？」

「え……ううん、そういうわけじゃないんだけど」

「ケンカでもした？」

「してないわよっ！」

　ほう。つまりケンカではない「何か」があったってことか。

　分かりやすくて助かる。

　でも、思い当たる節がなさすぎるな……。

　そもそもフィーネとガーネットさんって、何かが起こるほど面識あったか？

「……ねえ神乃悠斗」

「うん？」

「リエンカ家は、君のことを正式に家族として受け入れたと思ってるのよ」

「……？　お、おう」

　――なんだ？

　これはつまり、家族だから付き合うことはできない、っていう流れか？

　いやでも、フィーネもそれなりには好いてくれてるっぽいし、家族っていっても実際は義理なわけだし……。

「うちはそれなりに大きな力を持った家系だから、社畜体質の君は圧力を感じるのかもしれないけど、でもリエンカ家の一員として、家族として馴染んでくれると嬉しいわ。……話は以上よ」

「え？　いやいや話を逸らすなよ。ガーネットさんと何があったんだ？」

「はあっ！？　分からないの？　うちはべつに、君を配下に置いたなんて思ってないってことよっ」

　――は、配下？

　何の話をしてるんだ？

「配下に置いたも何も、オレは最初からおまえに召喚されてここにいるんだが……」

「――――そんなふうに思ってたの？」

　ええええええ。

　思ってたもなにも事実なんだが！？

　記憶喪失ですか！？

「……じゃあ君も結局、私のこと――。そんな対策しなくても、うちは君やラテスに手を出したりはしないわよっ！　バカっ！」

　フィーネは泣きながらその場から消えてしまった。

　恐らく【転移】でどこかへ移動したのだろう。

「――な、なんだ？　オレ何か変なこと言ったか？」

「ちょっとよく分かりません。でもその……ガーネットさんは悠斗様に思いを寄せているようですし、2人の間に何かあったのかもしれないです」

「えっ？」

「えっ？　き、気づいてなかったんですか？」

　ガーネットさんがオレを好き……だと……？

　いやでもさすがにそれは。

　あんな美人が気づいたらオレに惚れてましたとか、それなんてラノベだよ……。

　ガーネットさんはオレに恩義を感じているだけ――のはず。

　――とりあえずフィーネを探さないと。

　いや、ガーネットさんに話を聞くのが先か？

　でももう遅いし、今から行くのも迷惑だよな。

　ああもう！

　いったい何なんだああああああああああ！！！