第220話 試験が終わっても授業は――
告白の翌日。
今日はランクAになって初めての、リエンカ家への出勤日だ。
ランクAに合格したし、少しは授業も減るはずだと思っていたのだが。
「減るわけないじゃないですか。試験に受かるというのは最低限の大前提です。今後は名門神族として、リエンカ一族として、仕事も立ち振る舞いも一層きちんとしていただかないと。教養だって全然足りてません」
「すみません……」
「今後は正式な一族として、より厳しくいきますよ」
「はい……」
試験に合格した日はあんなに優しい笑顔を向けてくれたルアン先生も、すっかり鬼教師に戻ってしまった。
これではデートに誘う時間も――
――いや、フィーネに相応しい名門神族になるって決めたんだ。
むしろ指導してもらえるのはありがたいことだよな。うん。
仕事も授業も一層頑張らないと!!!
そう意気込んだ矢先。
「悠斗くんは、今日からしばらく仕事はお休みしなさい」
「――へ!?」
「正式にリエンカ家の一員になったのだから、名門神族として必要な教養、それから実力を身につけてもらいます。教養として、戦闘訓練も受けてもらうことになるわ。そのあたりについてはバースから聞いてちょうだい」
戦闘訓練……。
え、オレ体育とか全然ダメだったタイプなんだが!?
「それも名門神族の務めなんですか?」
「万が一のときに、神界や天界を守るのも神族の重要な仕事よ。もちろん、星もね」
万が一なんて起こったら生き残れる気がしない!!!
「……バースさんって強いんですか?」
「強いわよ。普段はあんなだけれど、リエンカ家の当主だもの。実力は本物よ」
まじか。
あんなゆるいキャラのくせに実は強いとか、かっこよすぎだろ!
……オレとは正反対のタイプだな。悔しい。
「……が、頑張ります」
「怖がらなくても大丈夫よ。悠斗くんを戦いに出す気はないの。うちはそういう家系ではないし。ただ、あまりに戦い方を知らないと――ね。神族もいろいろだから。だから教養として」
「な、なるほど……」
――オレに戦闘スキルがないことで、リエンカ家が恥をかくのは嫌だな。
それにフィーネだって、弱いより強い方がいいに決まってる。
「分かりました。リエンカ家の一員として恥ずかしくないくらいには、戦闘スキルも身につけてみせます」
「ありがとう、頑張って。それからあなたはもう家族なのだから、何かあれば遠慮なく言ってちょうだいね」
「ありがとうございます」
――はあ。
これはフィーネに認められるのは、想像以上に大変かもしれない。
「では、スケジュールを作りましたのでご確認ください。ご自身の神様活動は休みの日に行なうこと。それから週に一度は必ず完全な休息日を設けること。いいですね」
「は、はい。ありがとうございま――」
【一週間のスケジュール】
月曜日……授業+訓練
火曜日……休み
水曜日……授業+訓練
木曜日……休み
金曜日……授業+訓練
土曜日……休み
日曜日……休み
――って休み多いな!?
いやまあ、ラテスへの期待も大きいらしいし、神様活動もしっかりやってくれってことなんだろうけど。
訓練、週に3回か。
これならどうにか頑張れるだろう。たぶん。
よし。頑張るぞおおおおおおおおおおおお!!!
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