第217話 告白
翌日の昼過ぎ。
オレはフィーネとともに神界へ行くことにした。
――ラテスだと、オレのことみんな知ってるしな……。
神界なら、まともに散策したのはハクと観光した日くらいのものだし。
オレのこと知ってるヤツなんてそういないはず。
「――で、今日はいったいどうしたのよ」
「え?」
「ただ散歩にきたわけじゃないんでしょ? 何か困りごと?」
「え、あー、いや……」
この絶妙なズレは一番困るんだが!
ただでさえ経験なくて緊張してるのに!!!
しかもこんな街中で……。
「……フィーネと出かけたい気分だったんだよ」
「ええ? 前から思ってたけど、君って案外寂しがりよね。前もほら、私が休暇で留守だったとき、見限られたと思ったとか何とか……」
そうじゃねえええええええ!!!!!
というか前回もべつに寂しかったわけでは!!!
くそっ!!!
こいつ本当、オレのことどう思ってんだ?
「ふ、フィーネは、普段こうして誰かと出かけたりしないのか?」
「そうねえ。滅多にないわね。うちはほら、あんまり気軽に誘える家じゃないから。今回は君が相手だからいないけど、普段は護衛や側仕えの天使もいるしね。相手も同じくだから、やたらと大所帯になっちゃうのよ」
ま、まじか……。
というかオレにフィーネを守れる戦闘スキルがあるとは思えないんだが!?
大丈夫なのか?
「前に、クリエさんとリンネさんの代わりによく狙われるって言ってたけど」
「そんな家狙いの、しかも代替品扱いな誘いに乗るわけないでしょ……」
「で、ですよね……」
「今日、なんか様子がおかしいわよ。どうしたのよ……」
…………。
どうしよう?
オレの過去の調査によると、告白は夕方~夜がオススメだったはず。
しかし、今はまだ昼過ぎだ。
約束時間が早すぎたか……?
というかどこかで食事をって思ったのに食べてきたとかこいつ!
「ええと……」
「……もしかして、うちに入るの嫌だった?」
「えっ?」
「君は地位やお金よりも自由が好きなタイプに見えるし、本当はうちみたいな面倒な家系に入りたくなかったんじゃないかって」
「え、いや、べつにそんなことは……」
フィーネがそんなふうに思ってたとは知らなかった。
「君は神界生まれじゃないし、実の家族もいない。そんな見捨てられたら困る状況下でリエンカ家に入るよう誘ったのは、ある意味脅迫だったかもしれないって思って」
「待て待て。オレはリエンカ家の一員になれてよかったと思ってるよ。でも……」
「……でも?」
――し、しまった。
ああもうまったく!!!
どうしてこううまくいかないんだああああああ!
「……でも本当は、おまえに面倒見られたり守られたりするんじゃなくて、守る側になりたい。おまえのことが好きなんだ、フィーネ」
「――――え? ちょ、え?」
近くを通りがかった神族たちが、驚いたような顔でこちらを見る。
フィーネは一瞬ぽかんとしてフリーズし。
それから一気に赤面、口をパクパクさせている。
が、今さら止めるわけにはいかない。
「え、ちょ、こ、こんなところで何言って――」
「だからその――オレと付き合ってください!!!」
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