第214話 いよいよランクAの仲間入り!

 試験開始から6日目の夕方。

 もう無理かと思われた実技試験は、突如大成功(?)を納めて。

 オレは無事ランクAの神族に昇格することができた。らしい。


 大神殿へ戻ってから衝撃の事実を知らされたあと、オレは休むようにと再び宿泊用の部屋へと案内され、大きな風呂に入り、豪勢な食事を振る舞われ、それから早めに休むことになった。

 明日、ランクAの神族としての登録、それからリエンカ家に入るための手続き、そのほか諸々の説明などが行われるらしい。


 ベッドに寝転がり、ぼーっと部屋の天井を眺めると、ようやく自分が試験を無事クリアしたのだという実感を持つことができた。


 ――なんか、いろいろと考えさせられた一週間だったな。

 正確には6日だけど。

 早くハクやフィーネにもちゃんと報告したい……。


 ◆ ◆ ◆


 翌朝。

 オレは天使たちの案内で大神殿にある食堂の大きなテーブルで朝食を済ませ、ほかの神族たちが出勤してくるのを待った。


「おはよう~」

「ハルトくんおはよう。早いのね。ゆっくり休めた?」

「おはようございます、クリエさん、リールさん。おかげさまでこの通り、すっかり元気ですよ」


 食堂はランクSの神族たちの交流の場にもなっているようで、ほかの神族たちも続々と集まってきた。


「ここじゃ何だから、場所を変えましょうか」

「そうね~。聞きたいこともたくさんあるし。神乃悠斗くん、ついてきて」


 リールとクリエに案内された先は、応接室のような場所だった。


「改めて、ランクAへの昇格おめでとう~。まさか本当にランクAにまでなっちゃうなんてね。さすがだわ~」

「いえそんな。ありがとうございます」

「おめでとうっ! ハルトくん、転生者なんですってね。驚きだわ。こんなこと初めてよ。……ええと、まずは登録を先に済ませてしまいましょうか」


 リールはそう言って、数枚の紙をテーブルの上に置いた。

 少し分厚い特殊な紙で、紙自体から何か不思議な力を感じる。


「……って白紙?」

「この紙の上に手を置いて、力を流してもらえるかしら」

「は、はい。こう、ですか?」


 力を流すと、紙にじわじわと文字が浮かび上がってきた。


 ――す、すげえ。

 なんかこういうの、前世にアニメで見た気がする!!!


 紙には、名前や年齢、ランク、レベル、スキルなどの情報が次々と記されていく。

 ちなみに神力、神様能力、信仰の欄には、相変わらず「ERROR」が並んでいた。


「……クリエから話は聞いてたけど、ERRORなんて初めて見たわ」

「でしょ~。私もよ。リエンカ家も神界も、神乃悠斗くんがいれば安泰ね~」

「いやいや。高いのはレベルだけで、密度は全然らしいので……」


 ルアン先生の指導と特訓で以前よりは少しずつ上がっているものの、同ランクの神族と比べると、密度はまだまだ低いらしい。


「でもレベルが高いってことは~、それだけの可能性を秘めてるってことよ~」

「ふふ、これからが楽しみねーっ♪ 登録は以上よ。これでハルトくんもランクAの仲間入りっ」

「あとはリエンカ家に入る手続きね~。これはうちでしましょうか~。でもその前に、試験中のことをね~。リールも聞きたいでしょ?」

「もちろん! あんなの見せられてこのまま帰すなんてできないわ!」


 リールさん!

 他意はないって分かってるけど言い方!!

 というか、むしろオレが聞きたいくらいなんだが!?


 結局、2人に小一時間ほど試験中のことを根掘り葉掘り聞かれて。

 オレの心は羞恥の海に撃沈したのだった。

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