第213話 ランクAに合格した!けど!!!

 神力を5日に渡って注ぎ続けた湖に水晶(仮)を放り込んだ結果。

 湖だった場所には、神鉱石でできた山ができあがった。

 山のてっぺんは雲の中に隠れていて、その正確な高さを窺い知ることはできない。


「…………ええ」


 たったあれだけの欠片を持っていっただけで驚かれた神鉱石。

 それが今、山として聳えている。


 なんかもう、神鉱石の育成に成功した喜びとかそういうのより。

 どっちかというと引いている自分がいた。


「い、いや、まあでも、これは文句なしに育成成功、だよな?」


 湖に神力を注ぎ続けたのは間違いじゃなかったってことだし。

 これだけの神鉱石があればそこそこ神様アイテム作りに貢献できるだろうし。

 あの美しい湖がなくなったのは残念だけど、これでよかったんだよな?


 元湖の近くに座りこんで山を眺めていると、クリエがやってきた。


「――あ、クリエさん」

「ええと……ご、合格おめでとう?」

「あ、ありがとうございます?」


 何事にも動じないタイプだと思っていたクリエさんですら、目の前の光景には驚きを隠せない様子だ。


「と、とりあえず、大神殿へ戻りましょうか~」

「はい……」


 ◆ ◆ ◆


 大神殿へ戻ると、リール、それからフォルテ、ルアン先生もいた。

 2人が疲れた顔をしてるのは気のせいだろうか?


「ハルトくん! ええと、まずはおめでとう! 文句なしの合格よっ」

「あ、ありがとうございます。湖あんなことになってすみません……」

「それは全然問題ないけど……でもどうしてこんな無謀なやり方を?」

「いや、まさかあんな爆発するとは思ってなくて……」


 ――やっぱり湖を破壊したのを怒ってるんだろうか?

 というか、なんでフォルテさんとルアン先生がここに?

 まさか弁償――


「えっと……そこじゃなくて、試験中ずっと星に籠るなんて想定外すぎて」


 ――え?


「え、試験中はあの星で暮らせってことだったんじゃ?」

「まさか! あそこは神鉱石を育成するための、言ってしまえば畑のような星よ。住むにはあまりに未開拓すぎるわ」

「サバイバル生活も含めて試験なのかと。それに小屋が」

「たった7日で、しかも【神様】も【理の改変】も使えない中でそんなこと考えるの、あなたくらいよ……。小屋は物置きであって、宿泊するための場所じゃないわ。それに育成方法は聞いても良かったのよ?」


 ――な、なん……だと……


「分からないことがあったら聞いてねって言ったのに……」


 ええええええええ。

 いや、まさか試験の根幹について聞いていいなんて思わないだろ!


「そ、それなら途中で教えてくれても……」

「基本的に、こちらからの指示はしないことになってるのよ。でもあまりに出てこないから、フォルテとクリエに相談してたの。そしたら、あの子はそういう子だからしばらく様子を見ましょうって」


 うおおおおおおおおおい!!!


「え、というか、もしかして試験中って星の様子も見えてたり……」

「そりゃそうよ。試験だもの」


 死にたい!!!


「お、お見苦しいところをお見せしてすみませんでした……」

「? でも無事合格できてよかったわ。聞きたいことはいろいろあるけど、とりあえずはゆっくり休んで。あんなところで一週間近くも、大変だったでしょ」

「あ、ありがとうございます……」

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