第212話 これ絶対また規格外なやつ!!!
焦る気持ちと諦めの境地、合格したい願望と逃げたい感情がぐるぐると頭の中でせめぎ合う。
というかオレ、なんでこんなに頑張ってたんだっけ?
ランクBだって上位神族なわけだし、転生者からここまで来られれば誰も文句は言わないのでは?
リエンカ家だって、べつに正式な家族になれなくても邪険にはしないはず。
もう、このまま適当に頑張っているフリをして、落ちました残念あはは、という流れにしてしまおうか。
一瞬、そんな考えが頭をよぎる。
「でも、ハクはがっかりするだろうな。フォルテさんやルアン先生も、それからフィーネも。それはなんか――嫌なんだよな」
それにここで諦めたら。
目標を達成することなく道半ばで折れてしまったら。
結局オレは、人間だった頃と何も変わってないことになる。気がする。
「――考えよう。このままがむしゃらに続けてもダメなら、何か手法を変えないと。……でも、ほかにどんな方法が?」
オレが神鉱石について知っていることと言えば。
・エネルギーが豊かな土地に自生する
・普通は名門神族が力を注いで専用の星を育てる
・純度を高める作業が必要
ということぐらいだ。
つまり、神鉱石について学習していなかった時点で負け戦だったのかもしれない。
そもそも、7日間で育つもんなのか?
本当は、オレみたいな成り上がりがランクAになること自体に反対で――いや、そういう考えはダメだ。
そうやって卑屈になって自分の殻に閉じこもっても、状況は何も変わらない。
それにランクSの神族たちがそんな嫌な手口を使うとは思いたくない。
「――自生ってことは、最初にまず小さな核みたいなものができるはずだよな? 豊かな土地に、その核となる鉱石を――埋める?」
それなら。
それがべつに土である必要がないのなら。
…………。
「よし。ものは試しだな。水晶(仮)はまだ池のとこにもあるし。万が一失敗して回収不可能になっても、また取りにいけば――!」
オレは部屋に残していた6つの水晶(仮)を、池の中にすべて放り込んだ。
「頼む! 何でもいいから、何か前に進んでくr」
その時。
ゴゴゴゴゴゴ……という地響きとともに地面が大きく揺れた。
オレは立っていられず、思わず膝をつく。
「な、なんだ!? こんなときに地震!?」
そう思った次の瞬間。
目の前の湖が爆発した。
オレは状況判断もままならないまま、とっさに伏せ、顔や頭を覆う。
が、爆発にしては何かがおかしい。
熱も感じないし、危険物の噴出もなさそうだ。
「爆発――――じゃないな。これは」
恐る恐る顔を上げ、湖の方を見てみると。
激しい地響き、それから水飛沫とともに、ピキピキパキパキと音を立てながら凄まじい勢いで鉱石が噴出していた。
湖だったはずの場所には鉱石でできた山がそびえ、そしてまだまだ成長し続けている。
「――――は? え? 何だこれ???」
よく見ると、山は太さや長さの異なる透明な六角柱の集合体だった。
その1つ1つが内側に美しい黄緑の光を宿していて、エネルギーを内包していることが見て分かる。
そしてオレは、これをラテスで見たことがあった。
つまり。
神鉱石いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
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