第206話 まずは【試験用惑星】の探索開始!

「――今日から1週間、ここで暮らすことになるのか」


 試験会場となる【試験用惑星】は、【完全未開拓惑星】だったラテスに比べると、だいぶ整備された星だった。

 ラテス同様、生物の存在は確認できないが。

 宿泊に使えそうな小屋まで完備されている。


「……へえ。もっと厳しい環境を想定してたけど、案外至れり尽くせりだな」


 用意されていた建物に入ると、椅子やテーブル、ベッドなど生活に必要なものは一式揃っていた。

 が、唯一食料が見当たらない。


 なるほど。

 食料は自分でどうにかしろってことか。

 川の水は飲めるよな?


 オレはとりあえず、初日は星の調査に使うことにした。

 神鉱石は星のエネルギーが凝縮されている場所にできる、というのは聞いたが、よく考えたらそれ以外の情報がない。

 もっと詳しく作り方とか聞いておくんだった……。


 さすがのルアン先生も、実技試験の内容までは読めなかったらしい。

 まあ、元々名門神族であるリエンカ家には必要のない試験だしな。


「エネルギーが凝縮されてそうな場所をいくつか探す必要がありそうだな」


 単純に考えれば、自然が豊かな場所だろうか。

 あとは川に近いとか?

 大木の近くとかもよさそうだな。


「神様アイテムの使用はNGらしいけど、スキルの使用は制限されてなかったよな? だったら何かスキルを使うという手も――。よし、スキル【探知】!」


 スキル【探知】というのは、星の状況を把握するために使うスキルだ。

 フォルテさんの探知能力には遠く及ばないが、それでもざっくり把握することくらいならできる。


「――ふむ、なるほど」


 この星は【試験用惑星】なだけあって、広さはラテスの5分の1程度しかない。

 ハクがいない今、移動時間が短縮できるのは素直にありがたかった。

 食料にできそうなものは、ここから少し行った先の森に果樹があるっぽいな。

 できればタンパク質もどうにかしたいところだが――


「まあとりあえず、森に行ってみるか」


 森には、7日間では到底食べきれない量の果実が実っていた。

 ありがたいことに豆類まである。

 タンパク質確保おおおおお!!!


「さて、どうやって小屋まで運ぶかだけど……」


 ここはオレの星じゃないから、スキル【神様】と【理の改変】は使えない。

 つまり、あるものでどうにかする必要がある。


「……よし!」


 オレは森に生えている植物の中から蔦状のものを集め、編み込んで簡易かごを作成した。

 そのかごに、もいだ果実や豆などの食料を詰め込んでいく。


「――ん?」


 森の中を歩いていると、美しい湖と直径5mくらいはありそうな大木を発見した。

 水はどこまでも澄んでいて、水面に木漏れ日が反射してキラキラと輝いている。

 大木も、葉は透き通るような艶やかさで、幹もどっしりとしていて力強い。

 大木の周囲にも多くの木が生い茂っていた。


「――す、すげえ。物語の世界に登場しそうな神々しさだな!? 主とか出てきそう。ここなら神鉱石の育成場所によさそうだよな」

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