第205話 いよいよ実技試験。内容は――

 筆記試験2日目も無事終了し、1日休みを挟んで、あとはいよいよ実技試験のみ。

 休み中は、ハクたちに連絡をとって話をしたり、大神殿の敷地内にある庭園をのんびり散歩したり、ここに仕える天使たちと会話をしたりして過ごした。

 ちなみに、試験内容はいまだ明かされていない。

 クリエいわく、内容は受験者に合わせて毎回変わるらしい。


「ランクAへの昇格試験受験者なんて、数百年に1人出るか出ないかだからね~。ランクSの神族にとっても一大イベントなのよ~」


 とさり気なく衝撃的な事実を知らされたのは昨夜の話だ。

 貴重な人材を取り逃さないよう、総力を上げて審査するらしい。

 正直、試験前に聞きたくはなかった。

 プレッシャー……。


 実技試験が行われる日の朝。

 広間へ出ると、そこにはすでにリールがいた。


「おはようございます」

「おはよう、ハルトくん。よく眠れた?」

「ええ、おかげさまで」


 不安がないわけではなかったが、試験内容がまったく知らされていないことである種の諦めのような境地にいたり、不眠は回避できた。

 どうやらオレは、ラテスで生活しているうちにだいぶ神経が図太くなったらしい。


「それじゃあ、試験内容を発表するわね」

「お、お願いします……」

「ハルトくんの試験は、7日間で神鉱石を手に入れることよ」


 神鉱石いいいいいいいいいいいい!!!


「星はこちらで用意するわ。その星で7日間のうちに神鉱石を生み出すことができれば合格よ」


 な、なるほど……。

 ラテスから持ってくればいいって話では、さすがにないか。

 この間フィーネやフォルテさんから神鉱石の話を聞いておいてよかった……。


「何かルールとか、禁止事項とかはありますか?」

「神様アイテムの使用やほかの誰かの力を借りるのは禁止。ほかは特にないわ」

「分かりました」


 ラテスには、やたらと純度の高い神鉱石が山ほど生えているが。

 しかしあれは、ファニルの力があってこそ起こったことだ。

 オレ1人で可能なのかは、正直分からない。


「星は、神鉱石の生産によく使われる一般的なものを用意してあります。ハルトくんの部屋に【異界への扉:試験用惑星】を設置しておいたわ。そこを通ればすぐよ」

「ありがとうございます」

「何か質問があれば、試験中でも答えられることは答えるわ。それじゃあ、7日間頑張ってちょうだいね」


 リールはそう言って微笑み、広間から去っていった。


 部屋に戻ると、リールの話のとおり【異界への扉:試験用惑星】が用意されていた。

 試験はもう始まっている。


 ――さて、じゃあいきますか!


 7日後、笑っていい報告ができるように。

 オレに期待してくれるリエンカ家の一員になれるように。

 そして、フィーネに話を――。


 頑張るぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!


 オレは決意を固め、【異界への扉:試験用惑星】の先へと一歩踏み出した。

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