第202話 示された2つの道

 名門神族になったあとは、なんかこう、リエンカ家の神族としてやるべきことをやるだけだと思い込んでいたが。

 どうやら2つの道が用意されているらしい。


「1つは、クリエと同じランクSの天界神族を目指す道。その場合、恐らくは神様アイテムの研究と開発、創造に力を注いでもらうことになるわ。もう1つは、ランクAの名門神族のまま、星の育成に力を注ぐ道」

「……以前、リエンカ家に入ったら管轄の仕事が中心になると言われた気がするんですが、リエンカ家の管轄は生と死を司ることですよね?」

「初めはその予定だったけれど、あなたの力をそこに割くのはもったいないわ。それにやっぱり、元人間のあなたにうちの仕事をさせるのは酷だと思うの。だからバースやクリエと話し合ったのよ」


 話し合った結果、オレの適正から、この2つのどちらかが一番力を発揮できるという結論に至ったらしい。


 まあまだランクAにすらなってないんだけどな!


 フォルテさん的には、そこはもうクリアできると踏んでいるのだろう。

 嬉しい反面、プレッシャーがすごい。


「ラテスの管理は、引き続きオレに任せていただけるんですよね?」

「そうね。あの星は悠斗くんにしか扱えないし、そこは心配しなくても大丈夫よ」

「分かりました。考えておきます」

「ええ。ほかにも何か分かったことがあれば、またお知らせします」


 ◇ ◇ ◇


「――って話だったよ」

「星と一体化……。ま、まあ? 私の力をもってすればこんなもんよ!」

「一歩間違えば取り返しのつかない事態だったらしいけどな」

「ほんとそれよ! 私、君の魂をラテスに定着させられなかったら死刑になるところだったのよ!? わざとじゃないのにそんなの冗談じゃないわ!」

「……ほう? なんか反省してないみたいだし、やっぱりフォルテさんに厳しく罰してくれって頼もうk」

「あああああごめんなさいやめて私が悪かったからああああああああああああ」


 ――はあ。


 泣きながら縋りつくフィーネにため息をつきつつ。

 でもどこかで、そんなどうしようもないフィーネを可愛いと思ってしまっている。

 病気かもしれない。


 いや、不確定なエラーとして世界の狭間に置き去りにされるのはごめんだけど!


 まあでも、実際オレはここにこうして生きられてるし。

 前世とは比べ物にならない幸せと充実感を手にしてるし。

 オレの一件で反省して、今後フィーネが同じ過ちを犯さないでいてくれるなら。

 その件に関して今さらとやかく言う気はない。


「フィーネはどっちがいいと思う?」

「――へ? ああ、君の今後のこと? それは君次第じゃないかしら。君はどんな神様を目指したいの? 私はどっちでも応援するわよ!」


 どんな神様――か。

 オレはどんな神様になりたいんだろう?


「まあまだ時間あるし、もう少し考えてみるよ」

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