第195話 頭を撫でるのはアリかナシか
フォルテは、定期的にラテスの調査を実施すると約束してくれた。
ランクBにもなってフォルテの力を借りなければならない現状が情けなくはあるが、星の安全第一だ。
「ありがとうございます」
「いいえ。これからも期待しているわよ。……それからハク」
「!? は、はい」
「あなた、モモリンを使った料理のレシピ開発をしてみない?」
「!?!?」
おおお!!!
「ドリンクもケーキもとてもおいしかったし、あなたの作る料理をもっと食べてみたいわ。急がなくていいから、気が向いたら考えてみてちょうだい」
「ぼ、僕でよければぜひっ」
「よかったな、ハク」
「えへへ」
フォルテ直々に頼まれたのが嬉しかったのか、ハクはオレに抱きつき、胸元に頬をすりつけてくる。可愛い。
「ふふ、本当に仲良しね。微笑ましいわ。それじゃあ、私はそろそろ」
「あ、はい。今日は本当にありがとうございました」
こうしてフォルテは、天使を引き連れて帰っていった。
「――で、おまえは何をそんなに拗ねてるんだ?」
「だって! 私にだけ何も頼まなかったのよ!? 娘なのにっ!」
「おまえに頼みたいことはもうとっくに頼んでるんじゃないか? ここの調査だってフォルテさんから言われたんだろ?」
「そうだけど! でもっ!」
子どもかっ!!!
「……だって、私だってもっと役に立ちたいのよ。君のこと見つけたの私なのに、私だけ蚊帳の外なんて納得いかないわ」
「見つけたっておまえ……はあ。まあでも気持ちは嬉しいよ。ありがとな」
「――――え、ちょっ!? な、ななななな何するのよっ!」
「え? あ――ご、ごめん」
ハクを撫でていた流れで、うっかりフィーネの頭を撫でてしまった。
フィーネは驚いた様子で慌てて逃げるように後ずさる。
――そんな嫌がらなくても。
さすがに傷つくぞ。
……いや、あれ? 違うな。
もしかしてこれは――
「おまえ、もしかして照れてる?」
「はあっ!? 照れてないわよっ! バカじゃないの!? 女性の髪に気安く触るんじゃないわよこの変態っ!」
「いやでも顔真っ赤だぞ」
「お、怒ってるのよっ!!!」
フィーネは半分涙目になりながら口をパクパクさせ、必死で応戦している。
こんなことでここまで動揺されるとは思わなかった……。
いや、たしかにいきなり触ったオレもオレだけど。
「わ、悪かったよ。もうしないから」
「……べつに嫌ってわけじゃないわよ。こんなことされたことなかったからびっくりしたのっ。それだけよっ」
「お、おう。ごめん」
ああもうくそっ!
こっちまで顔が熱くなってきた……。
そんな反応されたらこっちが意識しちゃうだろっ!!!
……フィーネの髪、スルスルでサラサラだったな。
触れた髪の感触が、不思議なくらい手に残っている気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます