第193話 もてなしと驚きと調査

「母様がここにいるの、違和感しかないわね」

「そうね。神界から出るのは本当に久しぶりだわ」


 翌日の午後。

 ラテスの家にフォルテがやってきた。

 お付きの天使2名も一緒だ。


 普段リエンカ家で見る姿には慣れたが、こうして外で見ると改めて威厳とオーラを感じさせられる。


 芸能人の比じゃないな!!!


「わざわざご足労いただきありがとうございます。とりあえず中へどうぞ」

「ありがとう」


 フォルテを応接室へと案内し、天使に例の紅茶とケーキを持ってきてもらう。

 オレとハク、フィーネも席に着いた。


「これは……?」

「シュワシュワジャム入りアイスハーブティー、それからモモリンタルトです。タルトのモモリンはシュワシュワジャムでコーティングしてあります」

「へえ。キラキラしてて綺麗ね。ではいただくわね」


 フォルテはまず最初にアイスティー、それからモモリンタルトを口にした。


「どちらもとてもおいしいわ。シュワシュワしていて、口当たりがとてもいいわね。癒されるわ。タルトも程よい甘さでいくらでも食べられそう。さすがね」

「これ、どっちもハクが考えたんですよ」

「……ハクが? あなた創作料理なんてできたのね。驚いたわ」

「み、見よう見まねです」


 フォルテに褒められて、ハクは頬を赤らめもじもじしている。


「いつも自発的に動いてくれるので本当に助かってます。今のラテスがあるのは、ハクがいてこそですよ」

「!? な、ななな何を言ってるんですかっ! 僕はただモフモフとしてできることをしていただけですよ! 悠斗様が優秀だからですっ」


 あわあわしながら必死で否定するハクが可愛くて、思わずもっと褒めまくりたい衝動に駆られる。

 が、さすがに可哀想なので今はやめておいた。


「ふふ、モフモフをこんなふうにしてしまうなんて、悠斗くんすごいわ。これじゃアイテムとして割り切るなんて無理ね」

「!? あ、あの、僕なにか……」

「家族にしたくなるくらい可愛いってことよ」

「だってさ。よかったな、ハク」

「あわわ……そんな、恐縮です」


 ハクはそれだけ言ってうつむいてしまったが、相変わらず耳だけは嬉しさを隠せないようだった。


「それじゃあ、お茶とケーキもいただいたことだし、そろそろ調査を始めるかしら」

「あ、はい。お願いします」


 フォルテは席を立ち、庭へと出る。


 そして。

 手のひらを天にかざして何やら詠唱を始めた。

 詠唱が進むごとに手のひらから魔法陣のような光が生まれ、それがまるで網か何かのように凄まじい速度で星を覆っていく。


 ――な、なんだこれ。

 なんだこれええええええええええええええ!?

 すげえ……。


 しばらくすると、星を覆い尽くしたのか広がりは収まった。

 フォルテはそのまましばらく詠唱を続けていたが、ついに静かに手をおろす。

 それと同時に、先ほどまで星を覆っていた光も消えた。

 その間、わずか5分ほど。


「ひとまずではあるけれど、調査が完了したわ」

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