第191話 ドラゴン・ファニルの影響力
人族と精霊の共存が浸透し、レイヤーの完全撤廃を実現させることに成功した。
リンネが連れ込んだドラゴンのファニルも、同じ世界に住まわせることになった。
「我のような強大な力を持つドラゴン、人族にとっても精霊にとっても脅威でしかないじゃろうに」
ファニルは最初はそう言って共存を拒んでいたが。
根気強く説得し続けた結果、どうにか了承を得ることができた形だ。
――にしても。
ファニルさんて本当にすごいドラゴンなんだな。
ドラゴンが住む地はエネルギーが強まると話は聞いていたが。
久々に訪れたミステリ山脈は、ファニルが住む付近だけ異常な力をたたえていた。
草木も水も全てが艶やかに輝き、地面からはエネルギーが結晶化したと思われる、黄緑色の光を放つ特殊な鉱石がいたるところに生えていた。
その鉱石を持ち帰ってフィーネに見てもらった結果、なんと神様アイテムを作るのに欠かせない神鉱石(かみこうせき)であることが分かったのだ。
「こんな貴重な鉱石、こんなにどこで見つけたの!?」
持ち帰ったのは10㎝ほどの破片5つほどだったのだが、フィーネはそれを見るなり驚き固まってしまった。
それだけ貴重で珍しいものらしい。
「あー、いや、ちょっとワケありのドラゴンが1体いてだな……。そいつの住んでるあたりにたくさんあった」
「ドラ――はあっ!? 聞いてないんですけど!」
「まあ、言ってないからな」
フィーネは神鉱石をまじまじと見つめ、光に透かしたり手をかざしたりしている。
「こんなに純度の高い神鉱石が自然発生するなんてありえないわ……」
「うん? どういうことだ?」
「神鉱石はね、たしかにエネルギーが豊かな土地に自生するものではあるのよ。そのために名門神族が力を注いで専用の星を育てるの。うちもいくつか神鉱石用の星を持ってるわ。でも普通はそのままじゃ純度が低くて使えないから、純度を高める作業が必要になるのよ」
純度の高い神鉱石はとても強い力を持っており、その力は使わない限り半永久的に鉱石内に留まり続ける。
そのため資産価値が高く、資産運用のために所有する神族もいるらしい。
「普段使ってる神様アイテムの価格は、生産の手間と使われる神鉱石の量で決まってると言っても過言じゃないわ。ちなみに、神獣のコアにも使われてるのよ」
「!?」
コアというのは、神獣の心臓のようなもの。
神獣はコアに神族の力が流れることで生きられる、と先日授業で習ったばかりだった。
「とりあえずフォルテさんに相談して、それから今後どうするか考えよう」
「教えちゃうの? こっちで使い道考えましょうよ」
「おまえそういうとこだぞ。そういうことするから怒られるんだぞ。この間相談してくれって言われたばかりだろ……」
「怒られたのは君もでしょ!?」
「おまえの意見を信じた結果な!!!」
はあ。フィーネは本当、どこまでいってもフィーネだな。
こんなドラゴンをラテスに放置してるリンネさんもすごいけど!!!
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