第188話 性格もある意味才能だと思う
「これだけの力を持った星、ただオレが管理してていいんでしょうか? 何かもっと使い道があるんじゃ」
高評価、というよりもはや危険物扱いとなっているラテスは。
オレみたいな神族数年目の初心者が管理するべきではないのでは?という気持ちも正直あった。
まあ、オレとしては始まりの場所だし、このまま大切にしていきたい気持ちが大きいけど。でも――
そう思ったが。
「星の力は、基本的には住民に還元するものよ。神族や星の外の者が受け取れるのは余剰分だけ。でないと、神様活動ではなく搾取になってしまうわ」
「――な、なるほど」
つまり、ラテスの力はリエンカ家のために使うのではなく、ラテスの民のために使ってくれということか。
なんてホワイトな環境なんだ……。
こうして神族がクリーンな運用をしてくれているのに、人間(主にオレの元上司と同僚)といったら!!!
「それに、今やラテスは悠斗くん以外には運用は無理だわ。イレギュラーなことばかりで危険もありはするけれど、でも確実にいい方向に成長させているし、それを継ぐのは私ですら無理そうね。あまりお役に立てなくて申し訳ないけれど、引き続きラテスの管理を頑張ってちょうだい」
「……あ、ありがとうございます」
「あーあ、母様にここまで認められるなんて、なんか嫉妬しちゃうわ。私なんて、自分の神様活動で褒められたことほとんどないのにっ」
フィーネはそう口を膨らませる。
「何言ってんだよ。おまえが間違ってくれたおかげで今があるんだぞ」
「間違ったは余計よっ!」
「そこが起点だしむしろ大事なとこだろ」
「――う、運も実力のうちって知らないの!?」
「おお、すごいすごい。フィーネの実力はすごいなー」
「この流れで言われても全然嬉しくないんですけど!?」
真っ赤な顔で睨みつけてくるフィーネを見ていると、緊張がふっと和らいでいく。
――いや本当、こいつのこういう性格も立派な才能だと思うけどな。
やろうと思ってできることじゃないし。
「あなたたち、本当に仲良しね……」
「こんな偶然で何でもできちゃうようなムカつく子、仲良くないわよっ」
「今さっき運も実力のうちって言ったの誰だよ」
「ああもう本当、君はすぐああ言えばこう言うっ」
「いやどう考えても誰でも抱く疑問とツッコミだろ」
「ふんっ」
フィーネはついに、ふいっとそっぽを向いてしまった。
「まあ、引き続き2人でラテスの管理にあたってちょうだい」
「……ま、まあ私は名門神族だし。先輩だし。見捨てるのは可哀想だから、仕方ないから引き続き付き合ってあげるわよ」
「あーはいお願いしまーす(棒」
「ちょっとまたその言い方っ!」
そんなやりとりを続けるオレとフィーネを見て、フォルテは呆れたような苦笑を浮かべていたが。
その顔はどこか穏やかで、オレたちの関係を優しく見守ってくれている気がした。
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