第187話 直感型と慎重派に挟まれて

「というよりこれ、フィーネの案なの?」

「そうよ? このヘタレにこんな大胆な案が浮かぶわけないじゃない」

「……そう。フィーネ、あなたにあとで話があります」

「!? な、なによ。神乃悠斗の力があればこれくらい何てことないでしょ!? それに私は、神乃悠斗がレイヤー撤廃したいとか言い出したから助言しただけよっ」


 明らかに怒っているフォルテを前に、フィーネは先ほどまでと態度を一変させ、涙目で責任転嫁を始める。


「悠斗くんは今、仕事に加えて勉強に訓練にと忙しいのよ。また倒れたらどうするの? まだ神力の消費量もちゃんとコントロールできないのに」

「母様は慎重すぎるのよ。何かあった時にどうにかするのがうちの役割じゃないの!?」

「あなたにどうにかする力があるの?」

「――そ、それは分からないけど。でも姉様も母様もいるじゃないっ」


 すさまじい責任転嫁&他力本願!!!


「――悠斗くん、あなたももうランクBなのだから、もっと慎重に動いてちょうだい。今後、そういう大きなことはせめて一言相談してからにしてくれるかしら。何度も言っているけれど、あなたもラテスも、今や私ですら手に負えないかもしれない力を持っているのよ」

「はい。すみません……」


 お、怒られてしまった……。

 自発的に動かなきゃと思ったけど、オレに何か問題があれば、リエンカ家の問題にもなるってことなんだよな。はあ。


「今のところ大きな問題は起こっていないみたいだし、一度与えてしまった力を取り消すことは難しいでしょうから、ひとまずは現状維持で様子を見ます。ただし、自分にも星にも、今まで以上に気を配っておくこと。いいわね。それから――」

「?」


 フォルテはそこまで言ってステータス画面を開いて何やら操作をし始めた。

 数秒後、オレのステータス画面が自動で開き、新しい神様アイテムが追加されたことが知らされる。

 そこには【ランクA星管理アプリ】と書かれていた。


「これは本来ランクA用の神様アイテムだから、あなたには少し難しいかもしれないけれど……でも一応渡しておくわ」

「これは?」

「星の力や精霊、人族の力が数値で見られるアイテムよ。それから、星から離れている間に何かが起こった際には即座に通知してくれるわ。1人1人のものが見られるわけではないし、数値がすべてではないのだけど、でも参考にはなると思うから」


 フォルテによると、管理している星のデータが数値化され、リアルタイムで表示されるアプリらしい。

 数値には様々な項目があり、どれも略式で書かれているため何が何やらさっぱりだ。


「アプリでは、あなたの星の数値はあなたしか見ることができないわ。だから定期的にチェックしておくこと。見る項目は、とりあえずは鉱石力を表す『P』、人族を表す『H』、精霊を表す『S』だけでかまいません」

「わ、分かりました。ありがとうございます」


 アプリを開いてみると、それぞれ数値が表示されていた。


 P:87689 SS+

 H:326 SS+

 S:77840 SS+


 ――うん。

 何一つしっくりこない。


「数字の横に英語が見えるかしら?」

「全部SS+って書いてますね」

「全部SS+!? あのセール品が!? 嘘でしょ……」

「……フィーネ、あなたちょっと黙ってなさい。すべて最高ランクまで上がっているし、そこが変わることはないと思うけれど。でもトラブルが起こると下がることもあるの。一応見ていてちょうだい」


「――あの」

「何かしら」

「これだけの力を持った星、ただオレが管理してていいんでしょうか? 何かもっと使い道があるんじゃ」

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