第183話 強まる鉱石力の影響力

 休みの日を使って、ラテスの精霊たちの上位精霊化を着々と進め。

 ついに全精霊の昇格を無事終えることができた。


 ――なんかラテスの力が一層強まってる気がするけど、気のせいってことにしておこう。

 最近、人族まで肌ツヤが良くなってきたような気がする。


「このままラテスの力が強まったら、オレ以外全員イケメンと美女になるんじゃ?」

「? 悠斗様もじゅうぶんイケメンですよ」

「いやいや、自分が平凡なことは自分が一番よく分かってるから」

「でも、お会いしたころより確実に若返ってますし、イケメン度増してます」

「うん!?」


 ――え、まじで?

 鉱石力アップ補正、オレにもあんのか?


 そう期待しつつ鏡を見てみたが――そこには見慣れた自分の顔があるだけでよく分からなかった。

 いや、言われてみれば、たしかに少しは若返った気がしなくもないけど。


「……特にこれといった変化を感じないんだが」

「毎日見てるからじゃないでしょうか? 人間の脳は騙されやすいらしいので、一度に分かりやすい変化がないとなかなか気づけないそうです。その感覚が染みついているのでは?」

「な、なるほど……?」


 そんなふうに言われると、そうなのかと思うしかない。


「気をつけてくださいね。悠斗様はラテス村でもエクレアでも人気者ですから。無自覚に親しくしすぎると女性が勘違いしますよ」

「お、おう」


 ハクはまったく勘違いしなかったけどな!!!


「僕は悠斗様が神族だって知ってますし、神獣と神族ではあまりにもいろいろと違うので」

「神獣は読心術も使えるのか……」

「いえ、何となくです……」


 前々から気の利く子だとは思っていたが、ついに心まで見透かされるようになってしまった……。


「ま、まあ気をつけるよ。オレに惚れるような物好きいないと思うけど」


 オレの顔も多少はマシになってるなら、ラテスの住民たちが若返ったり美人になったりして困ることもないだろう。

 顔が全てじゃないけど、コンプレックスが少ないに越したことはないからな。


 このときオレは、楽観的にそんなことを思いつつ、それ以上の何かが起こるなんて考えもしていなかった――。


 ◇ ◇ ◇


 それから数日後の休日。


「それじゃあ行ってくるよ」

「いってらっしゃいませ」


 今日はラテス村の村長ガーネットの家に招待されている。

 当初はハクも行く予定だったが、ハクはハクで精霊のお茶会に呼ばれてしまい、別々に行動することになった。

 ちなみにフィーネは家の用事でリエンカ家だ。


 ガーネットの家の近くまで行くと、途中まで迎えにきていたガーネットが手をふりこちらへと向かってきた。

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