第167話 たまにはこんな朝もいいよな

 連休2日目。


「ねえ、昨日買ってきた新商品、見てみましょうよ!」

「うん? ああ、いやでも、今日は神様活動を進めないと……」

「ええっ、いいじゃない! 午前中だけっ」


 現在の時刻は――午前10時か。

 というか、フィーネは個別で買ってんだから勝手に楽しめばいいのに。

 でもまあ、こいつも仕事頑張ってるみたいだしな。


「じゃあ午前中だけなら。ハクもそれでいいか?」

「はいっ」


 オレとフィーネは、それぞれ購入した商品をテーブルの上に並べる。

 まあ、どっちも新商品ほとんど網羅してるから、既存商品以外はほぼ一緒なんだけど。


「――にしても結構な数あるな。こんなに買ってたなんて思わなかったよ。とりあえず、買った新商品をリスト化しておこう。今後の商売に役立つものも多そうだし」

「目新しい商品もかなりあるわよね」

「フィーネが見てもそうなのか。そりゃ貴重だな」

「君の神様活動がめちゃくちゃだからか、ラテスは特有の文化が多いのよ。それに不思議なくらいレベルが高いわ」

「めちゃくちゃ言うな! 誰のせいだと思ってんだまったく」


【「精霊祭」購入品リスト】

 ・森精霊のバターチキンカレー

 ・モモリン飴(現地で消費済)

 ・シュワシュワジャム(モモリン味)

 ・シルヴァ商店のチーズフォンデュセット

 ・シルヴァ商店のやすらぎハーブティー

 ・山精霊の炊き込みご飯の素

 ・火山島で作った極上温泉たまご

 ・水精霊のカラフルキャンディスセット


「……よし、これで全部かな。温泉たまごは日持ちしないだろうし、昼食に食べてしまおう。たぶん準備まだだよな」

「そうですね。そろそろ始める時間だと思いますが」


 住居をログハウスから神殿に移してから、掃除はほとんど必要なくなった。

 空気の入れ替えや洗濯など家事や雑務も、基本的には天使たちがやってくれる。

 そのため、ハクは日中は星の管理に集中していることが多いが。

 それでも買い出しや食事の準備はたまに手伝っているらしい。


 ハクの料理はオレと暮らす中で覚えたものが多く、天界育ちの天使とは違うメニューが多いのだ。

 だから食事の支度をする時間は、ハクと天使の情報交換の時間にもなっていると話していた。


「じゃあ、森精霊のバターチキンカレーでカレーライスにして、火山島の温泉たまご乗っけようぜ」

「いいわねそれ! そうしましょうっ」

「とても魅力的ですっ」

「せっかくだから、天使たちも呼んでみんなで食うか。これ持っていくついでに伝えてくるよ」


 神殿の食卓は無駄に大きく、誕生日席も合わせれば十数名は余裕で座れる。

 オレとハクとフィーネ、それからここにいる天使5名なら余裕だ。


 天使たちの居住エリアに行くと、何やらキャッキャと談笑中だった。


「ハルト様! どうされましたか?」

「いやその、昨日精霊祭に行ってきたんだが、そこでおいしいカレーと温泉たまごを手に入れたんだ。せっかくだし、たまにはみんなでどうかなと思って」

「!? いいのですか?」

「もちろん。みんなの意見も聞きたいしな。これをあっためて中身をご飯にかけて、温泉たまごを乗せるだけなんだけど……お願いしてもいいかな」

「もちろんですっ」


 天使たちは、パウチに入ったレトルト食品を見たことがなかったらしく、中に完成したカレーが入っていると伝えると驚いていた。

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