第155話 フリーダム父がほんとフィーネ

 フォルテは一度リエンカ家に戻り、大神殿の部屋にはオレとクリエだけになった。


「そういえば、バースさん、でしたっけ? バースさんはどういう方なんですか?」

「父様はね~、一言で言うと、フリーダムかしらね~。性格は、うちの中ではフィーネに似てるんじゃないかしら?」


 うふふ、と笑いながらのんびり答えるクリエに、こちらまでふっと力が抜けそうになる。

 なるほどフィーネに似てる父親。き、気になる……。


 ――にしても、クリエさんって不思議な力があるよな。

 ランクSってみんなこんな感じなのか?

 数値はオレの方が上らしいけど、到底勝てる気がしない……。


 しばらくすると、フォルテが家族を連れて戻ってきた。

 そこには見知った顔以外に、金髪碧眼のイケメンが――


 って待て待て待て待て。

 オレこんな超絶美形一家の一員になるのか!?

 それなんて拷問ですか……。


「初めまして。君がカミノハルトくんかな?」

「あ、は、はい! 神乃悠斗と申します。よろしくお願いいたします!」

「はっはっは! 初めまして、バースだ。そんなに固くならなくても大丈夫だよ。なんせ私はとても寛大な神様だからね!」

「ちょっとバース! 初対面でそんな変な挨拶しないでちょうだい!」

「いいじゃないか。相変わらず固いなフォルテは」


 ――――あ、うん。

 あれだ。この人フィーネの親だわ。

 人じゃないけど。


 この世のものとは思えない超絶イケメンに笑顔とウインク+ピースで迎えられ、緊張している自分が馬鹿らしくなってしまった。


「それはそうとしてカミノハルトくん、聞いたよ。ようこそリエンカ家へ。近々祝いの席を設けなくてはね」

「そんなことより神乃悠斗! こんな事態になってるなんて聞いてないんですけど!? クリエ姉様より数値高いってどういうことよっ」

「おおフィーネ。いや、どういうことって聞かれても、オレもさっき知ったしな」


 ――というかどうでもいいけど。

 なんでこの家族はオレの名前フルネームで呼ぶ派が多いんだ? 長いだろ……。


「転生者が、しかもこんな短期間で姉様を超すなんて、そんなことある? もうなんか、悔しさとか超えて笑えてきたわ……」


 リンネは頭を抱え、複雑な表情で失笑してため息をつく。

 が、これは思ったほどは嫌がられてもない――気がする。多分。


「それじゃあ、揃ったところで説明するわね~。母様が」

「……分かったわ。私から説明します。先ほど数値の測定を行なったのだけど、その……すべてにおいて高すぎて測定不可という結果が出たの。つまり今、悠斗くん以上に数値の高い神族は存在しない、ということになるわ。ランクSSの聖神ですらここまでではないもの」


 フォルテの説明を聞いて。

 フィーネやリンネはもちろん、バースまで驚きのあまり唖然としている。

 皆一様に「冗談だろ?」というような、そんな顔だ。


 ――うん、オレも同じこと思ってるよ。

 というかマジでこれこそ何かの間違いなんじゃ?


 正直、オレはハク(とフィーネ)と平和に暮らせればそれでいいし、そこまでの強さは求めてないし。

 間違いであるならそれに越したことはない。けど。

 どうやら、間違いではないようだ。

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