第154話 力があるなら活かしたい
「あのっ! オレがリエンカ家に入れば、オレの力は家の力として反映されるってことなんでしょうか?」
「え? ええ、そうね」
「それなら、早くリエンカ家に入りたいです。オレに信仰の力が集まってるってことは、つまり現状、リエンカ家の力を奪ってるってことですよね?」
お荷物にはなりたくない。
邪魔者にもなりたくない。
少しでいい。ほんの少しでいいから、役に立つ存在でありたい。
「違うとは言えないけれど、でもそれをあなたが気にすることはないのよ? うちの力は神界や天使からだけ集めているわけではないし、最大値が決まっているものでもないから100%そうとも言えないわ。それにそれもまた流れの1つだから」
「そうよ~。神乃悠斗くんだって、やりたいことがあるでしょ? あなたは言ってしまえば被害者なんだから、うちに遠慮しなくていいのよ~」
「……いえ、でもオレがそうしたいんです」
2人は顔を見合わせ、どうするべきかしばらく迷っていた。
が、オレが真剣であると通じたのだろう。
ついにフォルテが口を開いた。
「そうね。悠斗くんを被害者として、守らなければならない存在として扱うのは失礼だったわね。ごめんなさい。あなたはもう、立派なランクBの神族だもの。そんな扱いをするべきではなかったわ」
オレを見つめるフォルテの目、そして声色の変化から、オレのことを対等に扱うべき存在だと認識してくれたのだと伝わってきた。
「で、でも母様、うちに入るには――」
「そう。うちに入るにはこれからたくさん勉強してもらわなければならないし、最終的にはランクAになってもらう必要があるわ。名門神族としてのルールやマナーも必要よ。でも悠斗くんは、きっとそんな覚悟とっくにできているのでしょう?」
「はい。できてます」
オレの返事を受けて、クリエは驚き、それからとても嬉しそうに微笑んだ。
歓迎してくれたようでよかった。
「それなら、今日からはあなたのことを家族として、リエンカ家の者として認識します。その分厳しいことも言うと思うけど、いいわね?」
「はい。よろしくお願いします」
「私も応援してるわ。困ったり辛いことがあったらいつでも話してちょうだいね~」
「ありがとうございます」
ああ、本当に。
こんなに歓迎してもらえるとは思わなかったな……。
あとはまあ、正直リンネさんがどう出るかが若干怖いけど。
でもその程度のことも乗り越えられないようじゃ、きっと名門神族としてやっていくなんて無理だよな。
ほかの名門神族との交流もあるだろうし。
その辺は、うまくやっていく術を学ばないと。
「……それじゃあ、父様とフィーネ、リンネにも話したほうがいいかもしれないわね。特にリンネはほら、負けず嫌いなところがあるから」
「それもそうね。自分が知らないところで話が進んでた、というのは、きっと嫌がるでしょうし。悠斗くん、少しここで待っていてくれるかしら」
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