第151話 オレの神力レベルがやばいらしい

「で、では、いってきます……」

「安心なさい、ちゃんと見ておくから。何かあったら救出します」

「な、何かって何が起こるんです?」

「たまに力を吸われすぎて気絶する子がいるのよ」

「な、なるほど……」


 力を吸われすぎて気絶って大丈夫なのか!?

 ま、まあでもやるしかないか……。


 オレは水柱の間際まで近づき、水柱にそっと手を伸ばして水に触れる。

 そこにあるのはたしかに水なのに、触れている感覚はあるのに、不思議と濡れている気がしない。

 まるで手と水が一体化してしまったような、初めての感覚だ。


 そのまま中に入ると、まるで水が自分の体の一部のような気がした。

 心地よく、ほのかに温かさも感じる。

 オレの体は水柱をゆっくりと浮上していき、部屋の中央くらいまで上がったところで止まった。

 下の方で、フォルテが見ているのが分かる。


 ――入るまでは怖かったけど、これ気持ちいいな。

 体の中に力が溢れてくる。気がする。

 というより、内に秘められていた、鍵がかけられていた部分にあった力が引き出されるような、そんな感覚。


 しばらくすると、水柱全体が光り始めた。

 光は次第に強くなり、水柱内に自分の力が満ちているのを感じる。


「――とくん! 悠斗くんっ!」


 フッと力が抜けかけた時、フォルテの声が聞こえてきた。


 ――うん? え、なんだ?

 というかこの中って喋れるのか?


 オレが無言のままフォルテの方を見ると、何やら心配そうな顔をしている。


「どうかしましたか?」


 ――あ、喋れた。


「あなた平気!? 大丈夫!?」

「? 無事ですよ。気持ちよくてうっかり寝そうになりましたが――すみません」

「……そ、そう。それならいいのだけど。ただちょっと――悪いけれど、一度戻ってくれるかしら」

「? 分かりました」


 オレが出ようとすると、体が自然と下に沈んでいく。

 足が床についたところで、オレは水柱から無事出ることができた。


「体がふらつくとか、頭痛がするとか、そういうことはない?」

「ええ、何とも。まだ入ったばかりですし」

「……はあ、よかった。初回からあんなに強い光を出したのは悠斗くんが初めてよ。あの光は、自然にあの量に?」

「は、はい。なんか体の内側に閉じ込められてた力が解放されたような感覚があって、気づいたら光ってました」

「力が……?」


 ――な、何かまずかったか?


 フォルテは口に手を当て、何やら真剣な表情で考え込んでいる。


「……あの、何かまずかったでしょうか? やり方が間違っていたらすみません。あまり特別何かやったつもりはないんですが」

「ああ、いいえ。違うのよごめんなさい。ただその、あなたの神力はクリエレベルの――いいえ、それ以上の力かもしれないわ」

「――え?」


 ええええええええええええええええ。

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