第149話 星をより充実させていくために

「この辺は草原、ここは山と湿地帯、それからその先は砂漠にするんだったよな。海を渡った先の島は、山や洞窟、森をたくさん作って資源の宝庫にしておこう。一応、争奪戦が起こらないように上位精霊に守り神になってもらうか」


 氷の大陸と雪の大地を創った後も、オレはハクとともに開拓を進めていった。

 今度は雪の大地から南下し、星の構築を進めながらラテス大陸の南端を目指していく。


「……上位精霊の守り神、いいですね。各国の代表と契約させて悠斗様が管理できるようにしておけば、無駄な争いも未然に防げそうです」

「よし、それでいこう。各国で違う文化が発展して、交易で相乗効果を生むといいな」


 まあ、争いの火種になる可能性もあるわけだけど。

 でもそこは様子を見て調整していくしかない。


 こうして活動を続けて3日目の夕方。

 元々【完全未開拓惑星】だったラテスは、ようやく星として完成した。


「できたあああああああああああああああ!!!」

「す、すごいですっ! 本当にこの方法だけで創っちゃいましたね……」

「とりあえずって形だけど、思ったより早く完成したな。これがランクBの力か」


スキルの力が以前とは比べ物にならないくらい強く、構築にかかる時間も以前の半分以下になっている。

また、不思議なことに、ハクの移動速度も格段に上がっていた。


「ここからは、今度は自然の力と住民に任せてみようと思うんだ。いつまでもオレが全部創るのも、神様として違う気がするし。まあ、様子を見つつ手助けはすると思うけど」


 快適な環境を提供するのもいいけど、やっぱりただそれだけってのもな。

 救済召喚する住民たちは元々自分たちの文化を持ってるわけだし、だったら。

 その文化をこちらの世界に持ち込んでくれた方がありがたい。


 ――きっと、オレなんかにはまったく想像できない文化もあるんだろうな。


「もっともっと、たくさんの世界が見てみたいな」

「悠斗様なら見れますよ」

「あはは、ありがとう。いつもおまえが助けてくれるおかげだよ」

「そ、そんな、僕にできることなんて知れてますっ」


 そう言いつつも、無意識に耳をピコピコさせてしまうハクが相変わらず可愛い。


「上位精霊も探さなきゃな。本当は、ラテスの精霊に適任者がいればいいんだけど」

「そのことなんですけど、実はラテスの鉱石力が強いことで、精霊の力がかなり強まってます。今なら上位精霊へのランクアップも可能なんじゃないかと」


うん!?


「え、そんなことができるのか?」

「はい。このランクアップはランクB以上の神族しかできないので、これまでは難しかったんですけど。でも今の悠斗様なら可能です」


 お、おおお。

 ランクBになることでそんな嬉しい能力が解放されるとは知らなかった。


「明日、悠斗様がお仕事で出ている間に、精霊さんたちに話をしておきます」

「おお、助かるよ。いつもありがとな。そろそろ帰ろうか」

「はいっ」


 明日から週に3日、リエンカ家で働く生活が始まる。

 ただの社畜だったオレに務まるのか若干不安ではあるけど――


 でもハクと一緒にいるためと思えばそれくらい、だな!

 明日から頑張るぞおおおおお!!!

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