第148話 氷の大陸と雪の大地

 2日目以降は、出来上がった地図をもとに星の開拓を進めていく。

 まずは火山島の北東に氷の大陸を築き、それから大陸を挟んだ対角線上の位置にも大小の島を1つずつ誕生させた。


「全体図はだいたいこんな感じかな」

「そうですね。大陸と海のバランスもちょうどいいと思います」

「じゃああとは、大陸の中身をある程度構築して、人族と精霊を救済召喚して配置したらだいたい完成だな」

「はいっ!」


 いつものように狼姿のハクに乗り、移動しながらまだ未開のまま放置されている部分を穴埋めしていくことにした。


「……というかハク、オレとおまえは正式に家族になったわけなんだが、こうして乗せてもらっていいのか? 一応オレ、自分で飛行することも――」

「ごしゅ――悠斗様は、僕に乗って移動するのは嫌ですか……?」

「そういうわけじゃないよ。でも何というか、女の子にそういう役目をさせるのはいかがなものかと思ってな」

「僕は神獣なので、こうして走ったり飛んだりするのはまったく苦にならないですよ。悠斗様、とても軽いですし。むしろこの役目はあまり譲りたくありません」


 お、おう。そうなのか。

 というかそういうセリフは普通、男が言うもんじゃないのか……。

 いやまあ、もはや普通って何だっけ状態だけど。


 オレは女性にお姫様抱っこされているような謎の気恥ずかしさを感じつつ、しかしハクがそれを望んでいるようなのでこのまま身を預けることにした。

 ミステリ山脈を超えて北西へ進み続けると、大陸の最北端へとたどり着く。


「このあたりは雪の多い地域にしよう。北だし。あと霧も出やすくして、幻想的なエリアにしたい。空中には雲上都市も作って観光スポットにして、それから――」


 意識を集中し、【神様】を発動させながらイメージすると、周囲の地形や気候がみるみるうちに書き換わっていく。

 気温が下がる前に【シールド】を発動していなければ、今頃凍死していたかもしれない。


 ――火山島でも改変前の暑さから守ってくれたし、本当に便利なスキルだな。


 気温が下がり切って一帯が雪で覆われると、霧に混じってキラキラとした氷の粒が舞い始めた。


「ダイヤモンドダストだ――」

「光の粒が舞うなんて、魔法みたいですね」


 見渡す限りの幻想的な光景に、ハクも白い息を吐きながら感動した様子で見入っている。


 雪ってこんなにいいものだったのか。

 そういえば、子どもの頃は雪が降ると楽しくて仕方なかったな。


 会社員時代は、寒いし交通機関は止まるし、翌朝は凍結して危険だしで、雪なんて降らないほうがいいと思っていたが。

 こうして静かな中で見ると、その真っ白な輝きに心が洗われる気さえする。


 ラテスで暮らす住民たち、そしてこれから召喚する住民たちには、この美しさが届くだろうか?


 ――いや、そうじゃないな。

 届くような星にするのがオレの役目だ。


 住民たちが世界中を旅したくなるような星にしていこう。うん。

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