第145話 正式なモフモフの所有権を手に入れた
無事祝福(とインストール)が終わり、オレとフォルテは再びリエンカ家へと戻ってきた。
帰ったらフィーネとハクに自慢してやろう。
そしてハクを正式に譲ってもらって、神族とアイテムではなくちゃんと「家族」として暮らすんだ。
「それじゃあ、今後のことを説明するわね」
「はい」
「まず、週に3日、ランクBの神族としてうちに仕えてもらいます。仕事はその日によるから、特に指示がない場合は私のところに聞きに来てちょうだい」
「分かりました」
というかたった3日!?
週休4日制なんてホワイト企業も真っ青だな!!!
いやまあ、ラテスでの神様活動もあるから休みってわけじゃないけど。
「それから、そのうち1日は神界を守る結界への注力をお願いすることになると思うわ。悠斗くんは神力がかなり多い方だから問題は起こらないと思うけれど、最初は大変だと思うから無理はしないように。休み休みいきましょう」
「――はい。了解しました」
結界への注力なんてやったことがないのはもちろん見たこともないのに、なぜかやり方が手に取るように分かる。
これがあのインストールの効果なのか。すごいな。
「それじゃあ、ステータス画面から【シフト管理】を選んで、そこから入れる日を指定してもらえるかしら。5日後スタートで考えてもらえばいいわ」
「そういえば、服装はどうなるんです?」
「あの服は審査期間中の研修服だから、今後は普通の服で問題ないわ」
「分かりました」
「分からないことがあったら、私でもリンネでもフィーネでも、誰にでもいつでも聞いてちょうだい。これから改めてよろしくね。正式にうちに入る件は、もう少し慣れてきてからにしましょう」
「はい。それでは改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
◆ ◆ ◆
「ただいま」
「おかえりなさいませご主人様」
「おかえりなさい」
「あー、実は、だな。今日、ランクBに昇格した」
「!?」
「――は!? え、冗談でしょ? だって君、試験も受けてないじゃないっ」
「いや、本当だ。試験はなんか、オレが自発的にやってた仕事でクリアしてしまったらしくて……」
――あれ、おかしいな。
オレ、こんなチートキャラじゃなかったはずなんだが。
いつからこんな感じになったんだ……。
ああ、それもこれも、悔しいけどフィーネの手違いの賜物だ。
悔しいけど。
「……君を見てると、クリエ姉様を見てる気分だわ」
「おまえの手違いも役に立ったってことだろ。よかったな結果オーライで」
「――っ! そうだけど! そうなんだけど! 君に言われると、なんかものすごく悔しいんですけどっ」
「あはは」
「……お、おめでとう、ございます」
「ありがとな。そうだフィーネ、その、ハクを正式にオレに譲ってくれないかな。もちろんタダでとは言わない。財布の連携を解除しよう」
「――え。い、いいの!?」
「もちろん。べつにおまえの金を使い込む気なんて最初からないしな」
「あああああありがとう神乃悠斗おおぉぉお! ハクは元々譲るつもりだったから全然問題ないわ。だって私といるより君といる時の方が圧倒的に楽しそうだもの」
「ハクもそれでいいか?」
「え、えと、僕はお2人の決断に従います。……その、問題ありません」
ハクは答えづらそうにしながらも、小声で「問題ない」と付け加えた。
多分これは、ハクにとって精一杯の自己主張だ。
「よし。じゃあ決まりな。ハク、改めてよろしく」
「はいっ! こちらこそよろしくお願いしますっ」
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