第6章 神様ランクC ランクB昇格試験

第121話 昇格試験審査が難関すぎる件

「いらっしゃい。よく来てくれたわね。実際来るのは、フィーネの件以来かしら」

「お久しぶりです。えっと、その……はい。よろしくお願いします」

「そんなに固くならなくても大丈夫よ。いつもモモリンの件でやりとりはしてるじゃない」

「そ、それはそうですけど……」


モモリンなどを卸す際、基本的にはフィーネとのやり取りが中心だが、たまにフォルテが要望を出してきてそれに応える、というような場合もある。

そのためちょこちょこ通信ではやり取りしているのだが。


こんな大きな屋敷の主の下で働き、その様子を見定められるのだと思うと、どうしても委縮してしまう。

いやまあ、冷静に考えればフィーネの下にいる今だって大して変わらないはずなんだけど。

でもあいつは、普段は不思議なくらい圧を感じさせないからなあ。


「とりあえず部屋に行きましょう」


フォルテに連れられて向かった先は、前回初対面したあの部屋だった。


「どうぞ座って。フィーネは部屋に戻っていなさい」

「……分かったわ。神乃悠斗、頑張ってね!」


フィーネが部屋に戻り、天使たちがお茶を運んできたあと、オレとフォルテは2人きりになった。


「一応確認だけど、ランクBを目指すということでいいのよね?」

「はいっ」

「ランクBになるとできることも増えるけれど、その分制約も出てくるわ。神界で管理される側から管理する側に、守られる側から守る側になるということよ。そのあたりは聞いたかしら」

「聞きました。覚悟はできてます」

「そう。それならいいわ。昇格試験審査期間中のことについて説明します」


フォルテの話によると、昇格試験審査期間中は専用の個室が与えられるらしい。

そこをどう使うかは自由で、宿泊するか否かも好きにしていいそうだ。

フォルテは「事務仕事や休憩などのことを考えて一応与えている」と説明した。


「最初は天使たちと一緒に家事や雑用をしてもらうことになります。その間に、私たちの生活パターンや仕事の流れを天使から教わってちょうだい」

「分かりました」

「そのあとのことは、また次の段階に進むときにお話するわね。もちろん、今の星の管理も怠らないように」

「はい」


ランクBになれば、少しはフィーネの役にも立てるんだろうか?


「ほかに何か質問はあるかしら」

「オレ以外にも、昇格試験審査期間中の神族はいるんですか?」

「今はいないわ。滅多に現れるものじゃないもの。でも安心して。今までに、ということなら10人ほどランクBへの昇格者を出してるわ」


そうなんだ!?

というか今までで10人って少ないな!?


「ち、ちなみに志願者は今までにどれくらいいたんでしょうか」

「そうねえ、すぐにやめちゃった子もそれなりの数いるけれど、私の代になってから900人くらいは来たかしら。もう少しいたかもしれないわ」


めちゃくちゃハードル高いじゃねえか!!!

オレこんな難関突破できるのか!?


「が、頑張ります……」

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