第112話 温泉、やっぱ最高だな!!!
到着してしばらくすると、先日うちに来た炎精霊を含む数名が現れた。
精霊たちは5つの温泉の性質やら何やらについて説明し、それから旅館部分、休憩所についても紹介してくれた。
「性質や効能の詳細は、各温泉に案内を貼ってあります。それから神様がおっしゃっていた温泉卵やプリン、温泉饅頭などを作れるスペースも作ってあります」
「おお! ありがとうございます!」
「ほかにも蒸し料理など、今後幅を広げていこうかと。我々も今、神様に倣って温泉料理を研究中です」
炎精霊は、研究中のメニュー一覧を見せてくれた。
蒸し野菜に茶碗蒸し、湯豆腐、甘酒、それから味噌や塩麹などの調味料など、様々な研究成果が記されている。
「ねえ、お酒はないのかしら」
うしろからメニューを見ていたフィーネが、ワクワクした様子で質問という名の要求を始める。
「おまえ本当に厚かましいな!?」
「何よいいじゃない! 露天風呂なんだからいるでしょ、お酒!」
「いやまあ、あったら嬉しいとは思ってるけど……」
はあ。
口出ししないって言ってたのはどこのどいつだ。
「ありますよ、お酒。以前打ち合わせの際に聞いた日本酒、それから赤ワインと白ワイン、カクテル……どれも数種類ずつご用意しました」
「さすが、分かってるじゃないっ!」
「ありがとうございます」
フィーネの謎の上から目線にも笑顔で対応する炎精霊なら、接客もうまくこなしてくれるだろう。
「そういえば、今日は山精霊さんの姿が見えませんね」
「山精霊さんたちは少し引っ込み思案な性格でして、表に出る仕事は得意じゃないからと裏方の仕事に徹しています。呼べば来ると思いますが、いかがしますか?」
そういえば、カタログにも「物静かで大人しい性格」って書いてあったな。
炎精霊が活動的な性格らしいからちょうどいい、と思って大人しい精霊を選んだんだった。
「いや、元気にやってるなら問題ないので構いませんよ」
「そうですか。……説明は以上になりますが、何か質問はありますか?」
「いえ、ひとまずは」
「分かりました。それでは、あとは自由にご利用ください。一応、旅館の部屋をご用意していますので、鍵をお渡ししておきますね。我々は旅館内にいますので、ご用がある際にはお声がけください」
炎精霊はオレに鍵を渡して一礼し、去っていった。
脱衣所は各温泉に用意されている休憩所内にあるらしい。
「神乃悠斗! どこから入るの?」
「そうだな……手前から制覇していこうか。ハクもそれでいいか?」
「はいっ!」
オレとハク、フィーネは、まずは一番近くにある温泉に入ることにし、それぞれ脱衣所へと向かう。
――あ。ここ、混浴か。
初っ端から混浴はちょっと緊張するな。
先に髪と体を洗い、温泉の中へと足をのばす。
程よい温度のなめらかなお湯に歓迎され体を沈めると、思わずため息が出た。
温泉、やっぱ最高だな!!!
と、そこに、フィーネとハクがやってきた。
2人とも髪をまとめ上げ、タオルだけの姿になっている。
「――あ、あれ、今日はハクもタオル一枚なのか?」
「フィーネ様がこの方が気持ちいいとおっしゃったので」
「な、なるほど……」
チラッとフィーネを見ると、オレの反応を窺いニヤニヤしている。
こいつ本当に神様なんだろうか?
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