第104話 火山島で炎精霊を召喚してみた
――さて、ここからどうするか。
ハクの横顔に力をもらったオレは、再び今やるべきことへと目を向ける。
炎精霊を住まわせるなら、恐らくこの火山周辺がベストだろう。
どれくらいの数がいいかな。
ここは全体が火山の一部のような島だし、恐らくこの島に人が住むことはない。
誰かが訪れるとしたら、旅人か冒険者くらいか。
それなら、この島全体を炎精霊の区域と見てもいいよな。
「――100人くらいいけるかな」
「この広さなら余裕だと思います」
オレは【救済措置候補者カタログ】から、ある程度まとまった数の炎精霊を探し出した。
●炎精霊 123名
4980星に住む、炎を操る精霊。火山(主に活火山)に住む。
星の停止とともに火山活動が消失し、行き場を失っている。
活動的で義理堅い性格の者が多い。
780000G
――78万かあ。
まあでも精霊でこの数ならこれくらいはするよな。
むしろほかと比較してもかなり良心的な価格ではある。
ということはそれだけひっぱくした状況、ということも考えられる。
「よし。この123人の炎精霊を救済しよう」
「おおー! 一気に賑やかになりますね」
これでこのラテスには、
森精霊 32名
水精霊 8名
風精霊 20名
炎精霊 123名
人族(ラテス村) 100名
人族(要塞都市エクレア) 100名
と4種類の精霊+2種類の人族が暮らすことになる。
人族の人数は若干変動があるようだが、まあ数名程度のことだ。
今、ラテス村とエクレアの住民たちは活発に交流しており、それぞれの持っていた文化や知識を広め合うことでかなりの発展を見せている。
ラテス村にいたっては、もはや村というより街である。
オレも話を聞いて必要な資材やら何やらを創造しているとはいえ、まだまだ追いついていない部分も多い。
なんせオレは、星づくりに関してどころか街づくりや建築、医学、その他ほとんどの事柄に関して何の知識もない初心者だ。
そんなスキルも神様アイテムもない中、あれだけの頑張りを見せているのは尊敬するしすごい。
本当、オレが神様であの住民たちが人族って、人選ミスにも程がある。
……いや、そうだな。うん!
フィーネの人選ミスなんだった!!!
もっと知識のある有能なヤツが神様になってたら、この星はもっと凄まじい発展を遂げたのかもしれない。
そう思うとなんだか申し訳なくなってくるが、なってしまったからには自分にできる範囲でやっていくしかない。
でもさすがにそろそろ、ログハウスだとラテス村の景観に合わなくなってきたな。
ログハウス生活もだいぶ満喫したし、帰ったらいい加減ちゃんとした屋敷でも作るか。
――あの空に浮いてる神殿、あれ地上に下ろせんのかな。
……いや、そんなことよりもまずは炎精霊の召喚だな。
ただでさえ初心者なわけだし、集中しないとフィーネみたいなミスをしかねない。
オレはいったん気持ちを切り替え、スキル【召喚】で炎精霊を召喚した。
呼び出された炎精霊たちは、皆何が起こったのか分からない様子でぽかんとしている。
どの精霊も髪が燃えるよう赤い――というより燃えている。
髪が炎でできているようだった。
しかしその炎はとても弱々しく、炎精霊たちの命が風前の灯火であったことを物語っている。
「初めまして。ラテスへようこそ。オレはこの星を管理している神様です」
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