第102話 俺、最強じゃないか?

 なるほど?

 そんな星に転生させたフィーネには言いたいことが山ほどあるが、今気になるのはその続きだ。


「――で、その星がなんで今こうなってるんだ?」

「ご主人様がこの星を本拠地にしてることで、ここが神域になってるからです。神族というのは世界の最上位に位置している、いわば膨大なエネルギーの塊です。力を与えられて生きるほかの種族とは根本的に違うんです」

「……な、なるほど。でもオレは、力を与えられてここにいるはずなんだが」


 オレは生まれながらの神族ではないし、フィーネの不完全な救済召喚によって無理矢理ここに転生させられただけの元人間だ。


「……そこもまた影響していて、その、言いづらいんですが、ご主人様はフィーネ様の召喚によって一度死んでるんです」

「――は? いやでも、多少若返ってはいるけど前世の姿のままだぞ? それに記憶だって鮮明にある」


「救済カタログを使用しての【召喚】というのは、本来は転生ではなく転移させるスキルなんですが。このスキルは対象を本来の枠を超えて移動させるため、実はとても負荷がかかります。その負荷を調整してくれるのがあの【救済措置候補者カタログ】なんです」


 あのカタログ、ただ名前が載ってるだけじゃなかったのか!


「あれはランクSの神族が長い時間をかけて1つ1つ手作りしている希少なもので、とても高度な技術が詰まった神様アイテムなんです。でもフィーネ様が使用したカタログが不完全だったことで、その膨大な力が暴走して――」


 お、おおう。

 まさかフィーネに殺されていたとは知らなかった。

 そりゃ親も出てくる大事にもなるわな。


「それに気づいたフィーネ様がどうにかそれを阻止しようと神様アイテムやスキルを駆使した結果、多少若返ったもののなんとかだいたい同じ形でこちらに召喚することには成功しました。でもその過程で一度は肉体が失われて、暴走した力を受けて、何かしら魂の設計が狂ったのだと思われます」


 何かしら魂の設計が狂った。

 なるほど微塵も分からない。


 が、つまりここに来た時点で、オレは既に人間ではなかったと。

 そういうことなのか。


「そんなご主人様の力が星への刺激となって地下鉱石の活動が活発になり、結果鉱石力が高まっている――のだと思います。それにここには僕もいます。僕も一応神獣ですので、それなりにエネルギーが強いんです。精霊たちもそうですね」

「な、なるほど……」


「そしてもう1つ。ここの鉱石力が豊富になったことで、精霊や人族の生活も豊かになり、穢れが発生しにくい環境ができあがっています。その中で暮らすことで、星に悪影響を及ぼす負のエネルギーの発生が通常より圧倒的に少なく、鉱石力の純度が保たれるという好循環が生まれています。あとは住民のご主人様への信仰心も大きな要素の1つです。神様の力は、住民の信仰心の強さで倍増しますから」


 ええええええ。

 オレすごくね?

 何だこの俺TUEEEE状態。


「ほかにもたくさんの要因がありますよ」

「まじか。オレはただ、おまえと楽しく暮らせるように、住民たちが幸せになれるようにって思ってやってきただけだったんだが」

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