第71話 草原と巨大湖と山が地図に加わった

「……何をそんな真剣に悩んでるのかしら? 君の所持金どうせ無限なんだから買えばいいじゃない」

「――だから! 突然現れるなって言ってるだろこのコミュ障女神!」

「なっ――誰がコミュ障よっ! ちゃんと喋ってたでしょ!」


はあ。まったくどうしようもないヤツだな。

まあちょうど困ってたし、せっかくだから聞いてみよう。


「カタログで救済召喚しようと思ってるんだが、ここに書いてあるこの要塞都市ごと召喚することはできないかなと思ってさ」

「要塞都市ごと? できなくはないけど、どうして?」

「前回は奴隷だったから人族だけ召喚したけど、今回はそれだと住み慣れた国を奪うことになるんじゃないかと」

「なるほど、そういう考え方もあるのね」


フィーネはカルチャーショックを受けた様子でうんうん頷いている。

神族にはそういう感覚はないんだろうか?

よく分からん。


「都市ごと持ってくるのも不可能ではないけど、この星の神様に確認が必要ね。掲載依頼があったのは人族であって都市ではないし、一応都市には星で作られた文化が詰まってるから」

「なるほど……。ほかの星の神様と連絡取るにはどうしたらいいんだ?」

「この星は誰の管轄だったかしら――ちょっと確認して連絡を取ってみるわ」

「まじか。助かるよありがとう」


フィーネは召喚予定の人族が掲載されているページを記録し、帰っていった。

要塞都市の件はフィーネに任せて、オレは昨日新たに構築した地区の地名を考えることにした。


――ラテスの森の追加部分は、ラテスの森の一部だし特に考えなくていいよな。

命名が必要なのは、森の先にある草原と巨大な湖、あと山かな。

山は見ただけでまだ踏み込んではないから、その先に土地があるのか海なのかも分からないな……。

いや、それもオレ次第なのか?


草原は――たしか英語だとgrassland(グラスランド)だったか?

分かりやすい方がいいし、グラス草原とかでいっか。

訳したら草原草原になるけど。

ついでに湖もグラス湖で統一しよう。響きが良ければそれでよし!


山は複数あったけど、あれは別々の山として認識した方がいいんだよな?

でもとりあえずは「〇〇山脈」みたいにまとめるのもアリか。


……カミノ山脈、とか?

いやいやいやいや。

そんな自分の名前つけるなんて恥ずかしいことしてみろ。

フィーネになんて言われるか!

うーん、神……神秘……ミステリー?


よし、ミステリ山脈にしよう!!!


これならまあ、許される範囲だよな。

山に神秘はつきものだし多分。知らんけど。


早速【ラテスの地図】を確認し、地名が刻まれていることを確認する。

やっぱり地図に刻まれると、完成した感がすごい。


地図もだいぶ充実してきたな。

あとは村をどうするかが決まれば、人族を呼ぶだけだ。


――そういえば、【救済措置候補者カタログ】に土精霊と炎精霊、あと氷精霊がいたな。

いずれは砂漠や火山、氷の大地も作って、こういう精霊も連れてきたいな。


森精霊は土も操ることができるって言ってたけど、土精霊とはどういった関係なのだろうか。

水精霊と氷精霊の関係も気になるところだな。

今度さりげなく精霊たちに聞いてみるか……。

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