第57話 フィーネの所持金を手に入れた←
フォルテはオレの話を聞いて、何やら考えている。
「何か問題がありますか?」
「いえ、ただ申し訳なくて――そうだわ。それなら、今後フィーネの所持金をあなたも自由に使えるようにするわ。それくらいはさせてちょうだい」
――ふむ。それはおいしい話だな。
ちょうどこれからラテスの開拓で資金がいるだろうなと思ってたし。
フィーネを揺する際にも使えて一石二鳥だ。
「ではそれでお願いします」
「は!? え、ちょっと待ってよ! 母様もよく考えて! うちの資産を使い潰されたらどうするの!?」
「あなたの所持金で賄うのよ、フィーネ。足りなくなったら自分でどうにかなさい。家のお金は使わせません」
「そ、そんなあ……」
ほほう。ちょっと可哀相だけど、これは面白くなってきたぞ。
まあべつにフィーネの資金を使い潰そうなんて思ってないけど。
でも当分はフィーネで遊べそうだ。
ステータスを確認すると、所有ポイントだけでなく所持金も無限になっていた。
名前:カミノ ハルト
種族:神族
職業:神様ランクC Lv.185
スキル:【神様】【理の改変】【神の力】【治癒】【伝達】
所有アイテム:【ラテス】【何でもしてくれるモフモフ】【ラテスの地図】【アイテムBOX】【神様カタログ】【救済措置候補者カタログ】【神の書 1~10】【転送BOX:フィーネ】【神殿への門:フィーネ】
所有ポイント:∞
所持金:∞
「うう……もう嫌だあっ! 姉様が悪いのに! 私悪くないもんっ」
「……地下に幽閉されたいかしら」
「――ご、ごめんなさいそれだけは……うう」
フォルテに睨まれ、フィーネはようやく大人しくなった。
――はあ。本当にどうしようもないなこの残念駄女神。
でも、フィーネのこういう残念なところも最近は嫌いではない。
何だかんだで悪いヤツじゃないというのは分かったし、こんな大きな城の中で重圧をかけられて育ってこの自由人というのは逆にすごい。
仕方ないな。助け船を出してやるか。
「それよりフォルテさん、ラテスの特産品を買い取ってくださるとのこと、ありがとうございます」
「ああ、そうそう、モモリンとてもおいしかったわ。辺境の不完全な星をあそこまで育てるなんて、ランクCにしておくのはもったいないくらいよ。もちろん住民たちが豊かに暮らせることが最優先だけれど、よければこれからもぜひ買い取らせてちょうだいね」
「ありがとうございます。それでですね、最近モモリンを使ったジャムやスイーツがたくさん作られていまして、よろしければこちらもどうかなと。ぜひ召し上がってみてください」
オレは持ってきていたモモリンのジャムとの焼き菓子をフォルテに差し出す。
「あらこれは魅力的な商品ね。試食させていただくわ」
「はい。もし気に入ってくださいましたら、またフィーネさんにお渡しします」
「分かったわ。……あなたは本当に、きっと素晴らしい神様になるわね。こんな駄目な娘だけれど、どうかこれからもよろしく頼みますね」
「いえそんな。オレもフィーネさんがいてくれたからここまでこられたので」
こうしてオレは、フィーネの母親と会うというイベントをどうにかクリアし、フィーネの所持金と”貸し”を手に入れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます