第48話 神様ランクとフィーネの立ち位置

 この数か月、ラテス村を充実させるのと並行して、オレはスキル【神の力】の研究を行なっていた。

 いつまでもフィーネの力を借り続けるわけにはいかない。


 神様カタログから【神の書 1~10】を購入し、今までゼロに等しかった神界や神族についても学んでいる。

 分からないところはハクに聞いて教えてもらった。


「フィーネもこうして勉強してきたのかな」

「フィーネ様は名門神族の生まれでいずれランクS、ランクSSへと上がられる可能性があるので、恐らく相当厳しく叩きこまれてきたと思いますよ」

「え……」


 この【神の書】を読んで知ったが、いわゆる「神様」には7つのランクがある。

 一番下はランクEで、スキルをもらったばかりの転生者のことを指す。

 つまり「見習い」だ。

 転生者は全員ここからスタートするらしい。


 そこから昇格して神族と認められると、下級神族と呼ばれるランクDになる。

 これも、転生者から成りあがった者限定の下位ランクだ。


 そして実力があると認められた成り上がりは、ようやく中級神族と呼ばれるランクCとして認められる。今のオレがこのランクCだ。

 ちなみに生まれながらの一般神族は、ここからのスタートらしい。

 このランクCまでくると、成り上がりも生まれながらの神族も関係なく実力主義となっていく。


 ここからさらに実績を積み、昇格試験に合格すると、上級神族、ランクBとなることができる。

 が、ここまで来られるのは全体の1割未満。


「神族はのんびりした性格の者が多いので、一般神族で上を目指す者自体が少ないんです」

「なるほどそういうもんなのか」


 フィーネの「君はこれまでどおり自由にマイペースに神様やってればいいの」「勉強も訓練も君のペースでいいのよ」という言葉は、恐らく「一般神族はそういうもの」という神界の特性があってのものだったのだろう。

 オレは名門神族ではないから。


 フィーネはこの言葉を、どういう気持ちで言ったのだろう?


 ちなみに名門神族というのは、ランクBの1つ上、ランクAに当たる名家出身の神族のことらしい。いわゆる貴族だ。

 もしくは偉大な功績の残した神族も、稀にランクAに昇格することがある、と書かれていた。


 そしてその上には、天界神族と呼ばれ全体を統括しているランクSの偉い神族、そしてそのトップに立つランクSSの聖神がいるという。

 聖神は、元は固有の創造主を指すものだったが、今は神族全体から1人だけ選ばれる「代表者」となっている。


 ――まさかあんな適当なことばっかりの駄女神が、フィーネが、そんな立ち位置にいたなんて。

 フィーネは神界では、いったいどういう生活をしているのだろう?


 神界のこと、神族のことを学んだことで、フィーネの言っていた「偉い神様」の実態が少しではあるが分かってきた。


 オレは転生してから、何も知らずにフィーネの力を借りて生きてきた。

 そんなオレが何を言っても、フィーネがオレを突き放したことは一度もない。

 まあ説明がなかったり雑だったり、振り回された感がないといえば嘘になるが。

 それでも、本当に困ったときは必ずあいつに救われている。


 ――オレも頑張れば、少しはフィーネの役に立てるんだろうか?


 オレはここで初めて、今まであまり興味がなかったフィーネのことをもっとちゃんと知りたいと思った。

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