第45話 自立した一人前の神族に向けて

「ランクとポイントの件は分かったよ」

「よろしい。あとはスキルと神様アイテムについてよね」

「そうだな」


 オレは【神の力】なんて習得した覚えはないし、以前習得していたはずのスキルがいくつか消えている。


「スキル【神の力】っていうのはね、この地にあるものを自在に操る力のことよ。火や水、風、氷、土、草木、雷、それから光や闇……こういうあらゆる力がこの【神の力】に集約されてるの。これが表示されてるってことは、力を使う資格があるということ」

「な、なるほど……」


「でも実際は適正の有無が大きく影響するし、勉強や訓練も必要になってくるわ。今までは私が力を貸してたからスキル名さえ言えば事が起こってたけど、これからはあなたも一人前の神族として自分の力を磨くことになるわよ」


 ――え。


「ち、ちょっと待て。今までのオレの力って、おまえの力だったのか?」

「……はあ? 当然じゃない。あなた元々ただの人間でしょ? 何の訓練もなくそんなほいほい力が使えるわけないじゃない。もしかしてすべて自分の力だと思ってたの? ウケるんですけどw」

「…………」


 今までの力がフィーネのものだったのなら。

 それを失ったら、オレはどうなってしまうんだろう?

 もし何も適正がなかったら。

 もしずっと力が使えなかったら。

 そしたらこの星は、ここで暮らしている住民たちは――


「……なに不安そうな顔してるのよ情けないわね」

「い、いや、だって」

「大丈夫よ。適性が認められたからこうしてランクアップしたの。それに心配しなくても、突然放り出したりしないわよ。君はこれまでどおり自由にマイペースに神様やってればいいの! 勉強も訓練も君のペースでいいのよ。ここにはもう、暴言を吐く上司も裏切る同僚もいないんだから」


 ――そうだった。

 フィーネもハクも、精霊も人族も、神殿には天使たちもいる。

 オレが焦ってイライラしてたら、住民たちが可哀相じゃないか。


「ああそれから。これからは一応、君の方からも私に連絡できるわよ。まあ私は君と違って偉い神様だから、そんな毎回答えてあげるわけにはいかないと思うけど。でも気が向いたら対応してあげないこともないわよ」

「まあ、オレもできるだけ自分で頑張るようにするよ」

「連絡は、ステータス画面に呼び出し用のアイコンを追加しておいたから」

「おお、ありがとな」


「それからあと1つ。カタログが自由に使えるようになったから、カタログで購入できる神様アイテムはステータス画面には表示されなくなってるから。必要なときにカタログから買いなさい。……説明することはこれくらいかな。何か聞きたいことはある?」

「……いや、とりあえずやってみるよ」

「そ。じゃあ引き続き頑張ってね」


 それだけ言うと、フィーネはその場から姿を消した。


 ――あ、そういえば、どうせならフィーネの神様ランクを聞いておくんだったな。

 まあ次の機会に聞くことにしよう。


 これから人族たちにラテスの森のことを説明して、村づくりの確認をしつつ必要があれば手伝って、ラテス全体を把握するために探索もしなきゃならない。


 何だかんだでやること多いな。

 まあ、頑張るしかないか。


 オレはため息をつきつつ、いつの間にか神様も悪くないと思っている自分に少し笑ってしまった。

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