第31話 Let’s☆村づくり
こうして着々とできることを進め始めて数日が経った頃、5名の森精霊がうちにやってきた。
「ハルト様こんにちは。先日は村にお越しくださりありがとうございました。今日はその際にお話されていた村づくりの件でお伺いしました」
「こんにちは。ええと――アスタさん、でしたっけ」
「! 覚えていてくださったんですか。恐縮です」
「あの時いただいた森精霊のリングのおかげで、ログハウスを大幅にグレードアップさせることができました」
「お役に立てて嬉しいです。それで早速ですが、イメージ図を作ってきましたのでご覧いただけますか?」
アスタはそう言って、1枚の大きな紙を広げた。
紙には、村の全体図が分かりやすく記載されている。
元いた世界で言うなら中世ヨーロッパの田舎町を感じさせる雰囲気だ。
「いいですね。素敵な村ができそうです」
「ありがとうございます! それではこれを基本として取り掛かりましょう。まずは、村づくりを担当させていただく私たちの自己紹介をさせていただきますね。私はアスタです。長老フォーレの孫として、森精霊の管理のお手伝いをしています」
「お孫さんだったとは。改めて、よろしくお願いします」
「わたしはシルヴァと申します。普段は村で瓶詰めの保存食や日用品を作って販売していますわ」
「あたしはフォレス。村の食糧管理が仕事よ」
「シルヴァさんとフォレスさんですね。よろしくお願いします」
森精霊は基本的には自給自足の生活を送っており、霊力の強い者が畑や果樹園などの食糧を管理をしているらしい。
「俺はトゥリ。家や家具の設計、デザインをしています」
「今回村の設計をしてくれたのも、トゥリなんですよ」
「おお、それは頼りになりますね。よろしくお願いします、トゥリさん」
「ボクはアド。まだ学生だけど、食堂で料理を勉強させてもらってるんだ」
「食堂ってこの間の?」
「うんっ! あの食事、ボクも食材の調達や下処理を手伝ったんだよ。調理はまだ任せてもらえないんだけどね。えへへ」
「えらいな。料理おいしかったよ。ありがとう。よろしくな、アド」
自己紹介が終わり、いよいよ村づくりが始まった。
森精霊の世界では、村づくりなどのまとまった作業は職業問わず全員で力を合わせるのが習わしで、そうした基礎は幼いころから叩き込まれるらしい。
「今、まだ村ができたばかりで長老たちが忙しくて……私たちしか来られなくてごめんなさい。でも、しっかり体力も回復しましたし、5日もあれば終わります」
「いやいや、5名も力を貸してくれれば十分ですよ! というか5日!?」
「急ぎでしたら、もう少し集めてきますが」
「逆です。早くて驚いただけですよ。これは心強い」
「よかった。ではまず、ハルト様のお家を最終地点とする道を作りましょう。その大通りを基礎として枝道を伸ばし、その近くに家を建てていきます」
森精霊たちは、アスタの指示でそれぞれ役割を確認し、持ち場へと移動して作業を開始した。
森精霊たちの力は凄まじく、次々と木を生やしては木材を作り、土をあっという間にレンガに変え、石や岩からガラスや金属を生産し、道もどんどん作っていく。
ああ、これ、前もあったなこの感じ。
――――オレ、必要ないな!
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