第30話 スキル【解析】がチートすぎて怖い

ログハウス改修の次は周囲の柵も補強した。

また、庭に置いていた外用のテーブルと椅子も新調し、数を増やした。


ここに来てからの1か月で、庭の木の種類を増やし、【神様の土】を買い足し畑も大きくした。

今では牛肉だけでなく、豚肉や鶏肉、刺身の木まである。

【理の改変】を使って塩や砂糖、醤油などの調味料も木から取れるようにした。

ポイントで冷蔵庫を購入したため、食材の保存にも困らない。


さらに衣類も困らない数揃え、洗濯機も購入した。

もちろん乾燥機能付きのやつだ。


ただ、これらはあくまで神様ポイントを使って購入したものにすぎない。

【神様の土】で量産できるとはいえ、この世界の技術とは言えないだろう。


――オレに家電を生み出す技術があればなあ。

水道やシャワー、灯りなどのライフラインだってそうだ。

誰もがその恩恵を受けられなければ、繁栄は難しいだろう。


「それなら、スキル【解析】を取得しましょう」

「お? なんか便利そうなスキルだな」

「神様アイテムや一部の物は除外されますが、この世界のほとんどの仕組みを解析できるスキルです」

「それはなんか――無敵すぎないか?」

「ふふ、神様ですから」


ハクは誇らしげにドヤ顔をしているが、正直チート能力を手に入れてどんどん人でなくなっていく自分が怖い。

いや、もう既に人じゃないらしいけど。神族だけど。

でもオレ自身は何も変わっていない。心は人間のままだ。たぶん。


――はあ。

でもオレが活動することで喜ぶ住民がいるんだし、少しずつこの感覚にも慣れていかないとな。

役に立てるというのは、まあ悪い気はしない。

というか正直めちゃくちゃ嬉しい。


でも、オレはべつに聖人君子じゃない。

こんな人間離れした能力を手に入れれば、舞い上がりそうになることもある。

調子に乗らないように、堕落しないように、自制心だけは保ちたい。


「……ハク、もしオレが調子に乗ってよからぬことをしそうになったら、遠慮なく止めてくれ」

「はい。承知しました。……でも、ご主人様なら大丈夫だと思います。フィーネ様が認めた神様ですから」


ハクは笑顔でそう言ってくれた。


――こいつを裏切らないためにも、しっかりしないとな。


オレは【神様用の飴】を1つ口に放り込み、かみ砕いて飲み込んだ。

そして――


「スキル【解析】を取得する」


オレはスキル【解析】を手に入れた。

そして試しに、冷蔵庫に手をかざし「スキル【解析】」唱えてみる。


すると、冷蔵庫の仕組みが流れ込んでくる。

何が何やら分からないが、とにかく「仕組み」として脳に情報としてなだれ込んできた。


――な、なんだこれ。すげえな。

まったく分からないのに分かったぞ。

とりあえず、これを図面と文字に起こして誰でも作れるようにしていこう。


オレは自分の脳内にある「冷蔵庫の作り方」を紙に記し、続いて洗濯機やエアコン、コンロなども同様に【解析】した。

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