第2章 神様ランクD 正式な神族へ
第20話 神様ランクが上がったらしい
◆ ◆ ◆
気持ちを新たに「村を創る」と誓った夜、いつものように眠りにつくと、久しぶりにフィーネが現れた。
「久しぶりね」
「……ああ、久しぶり」
ここ最近の自分の行ないを顧みたばかりのため、何となく気まずい。
最近出てこないなと思っていたが、もしかしたらオレの生活ぶりを見てのことだったのかもしれない。
レベル10になった時にはスキルを2つもくれたのに、レベル20になった時には「おめでとう」の一言すらなかった。
話を信じるとすれば、フィーネは本物の神だ。
しかも本人曰く、「結構いいとこのすごい女神」らしい。
そしてハクがオレに言った「こんなに神様の恩恵を受けられる転生者は初めて」という言葉から察するに、恐らくあながち嘘ではない。
力を持っていなければ、そんなイレギュラーな優遇できるわけがないからだ。
オレは初めて、このフィーネという女神を怖いと感じた。
もしこいつに見捨てられたら、オレはどうなってしまうのだろう?
あの惑星を取り上げられれば、オレは生きる場所を失ってしまう。
それに、ハクとももう一緒にはいられなくなるだろう。
嫌な汗が止まらない。
と、とにかく謝罪をしなければ。
「あ、あの、オレ――」
「おめでとう! 君の神様ランクが上がったわ」
――は?
「え? いや、ちょ……は?」
「言ってなかったけど、神様には神様ランクっていうランク付けがあるのよ」
「はあ」
「私は由緒正しい神族様だから、当然上位ランクよ。とっても偉いわ。でも君は人間から成り上がったばかりの、言わば見習い神様というわけ」
もう、何が何やら分からない。
「まあべつにずっと見習いのままでも人間に比べればそれなりに便利ではあるし、困るわけじゃないの。実際、大半の成り上がり神様はここで終わるわ。でも――君は違ったみたいね」
「ええと、つまり?」
「ただの職業としての【神様】から、正式な神族へと昇格したのよ」
えええええええええええええ。
ついにオレは、完全に人ではなくなったらしい。
でもそうは言っても、いったい何がどう変わるのか……。
「神族になると、全神様アイテムを知る権利、そして購入する権利が与えられるの。もちろん所持金がないと買えないけどね。ステータス画面に【カタログ】を入れておくから、そこから見てみるといいわ」
「お、おう」
確認すると、そこには膨大な数の神様アイテムが載っていた。
こ、こんなにあったのか……。
「各アイテムをタップすると詳細が見られるから、時間がある時に少しずつ見ておくといいわよ」
「わ、分かった。でも、なんで……。オレはてっきり、おまえに見限られたのかと」
「へ? ……ああ! 長期休暇中だったのよ。というか何? 大の大人がちょっと間が空いたくらいで。寂しがり屋さん? 寂しがり屋さんなの? ないわー! あはははははは」
フィーネはオレを指さし腹を抱えて大笑いしている。
こ、こいつ――っ!
「そうそう、ランクアップの特典として【回復鉱石】と【転移ポイント】をプレゼントするわ。世界構築に使いなさい」
「……これはあれか? あの、RPGによくある回復ポイントと、瞬間移動ができるあの」
「そうそう、それそれ」
「おおおおおおお! 助かるよありがとう」
「ふふん! 担当になった神が私でラッキーだったわね! 感謝なさい! なんなら崇め奉ってもいいのよ」
どうやらこの女神、とても調子に乗りやすいらしい。
そもそもおまえの手違いでオレの人生が終わったのでは?というのは、今は言わないでやることにした。
「じゃあそろそろ戻るわ。引き続き頑張ってね!」
フィーネはそれだけ言って消えてしまった。
そしてそれと同時に視界がフッと暗くなり、オレは眠りについたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます